いきなり「23資産」登録の陰の立役者「加藤六月」元農水相長女インタビュー 「世界遺産」10年の根回しと韓国の破壊工作

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「明治日本の産業革命遺産」が、イコモスの勧告により国内19件目の世界遺産に登録される見通しだ。ここに至るまでの「陰の立役者」は、意外にも故・加藤六月元農水相の長女であった。彼女が本誌だけに語った10年間に及ぶ根回しと、韓国による破壊工作の全貌とは。

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「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。これは、俺がやらせてあげる」

 安倍晋三総理は、自民党が野党に転落し辛酸をなめていた頃、ある女性にこう漏らしたことがあった。そして、自民党総裁選で勝利し、総裁の地位に返り咲いたのは2012年9月26日。その3日後、彼女に電話し、

「産業遺産やるから」

 と、決意を語っていたのだ。

 今回、ユネスコの諮問機関、イコモス(国際記念物遺跡会議)が世界文化遺産に登録するよう勧告したのは九州の5県と山口、岩手、静岡の計8県に広がる「明治日本の産業革命遺産」(23資産)。登録されれば、「富士山」「富岡製糸場と絹産業遺産群」に続き、3年連続での世界遺産誕生となる。

 実は、これまで報じられていないが、今度の「登録勧告」には、陰の立役者が存在する。冒頭で「ある女性」と紹介した、(一財)産業遺産国民会議専務理事の加藤康子(こうこ)さん(56)である。まずは、永田町関係者に、彼女の来歴を説明してもらうと、

「06年2月に亡くなった加藤六月元農水相の長女です。六月さんといえば、安倍総理の父親、晋太郎さんの番頭として知られた人物。康子さんと総理の付き合いも古い。政府が今回の産業遺産を世界文化遺産として推薦した背景には、二人の関係が少なからず影響しています」

 彼女は、慶応大学文学部を卒業したが、

「元々、六月さんは康子さんを大蔵官僚と結婚させたがっていました。そこで、当時の大蔵省幹部から室崎勝信という東大出の大蔵官僚を紹介された。話は順調に進み、二人は婚約したのですが、ある日、康子さんが一方的に婚約を破棄。ハーバード大の大学院に留学しちゃったんです」(同)

 ちなみにフラれた室崎氏は、その後、彼女の妹と結婚。婿入りし、加藤勝信となった。そう、彼こそ安倍内閣の官房副長官である。

「私はハーバード時代、企業城下町の研究をしていました」

 と話すのは、康子さん。

「鉱山や鉄鋼業の街から企業が撤退すると、産業が消滅し、街は一気に衰退する。そういう街をどうやって立て直すかを専門に研究していました。その中で出会ったのが産業遺産。廃墟が産業遺産となり、観光客を呼ぶことで街が復活することに大変魅力を感じました」

 帰国後、ベンチャー企業を立ち上げ、99年に『産業遺産』(日本経済新聞社)を出版した。

「本を出したことで、それまで私が何をやっても喜ばなかった父が、初めて喜んでくれました。その時『お前も日本に世話になったろう。外国でフラフラしていないで、一つくらい日本に返せや』と言われたのを今でも覚えています。ただ、その頃は、日本の産業遺産を世界遺産に登録するのは、現実的ではなかった。それが03年9月、ドイツのユネスコ委員を九州にお連れし、産業遺産を見せたところ、『1つじゃ駄目だけど、何個か合わせれば世界遺産になる』と言われたのです」(同)

 彼女は、この時、国内の広範囲に点在する施設を一つの「遺産群」として一括推薦する「シリアルノミネーション」という方法を初めて知ったという。

「珠を一つ一つ繋げれば数珠になる。世界遺産になるものがこの国には存在する。それを知り、登録に挑戦しようと考えました」(同)

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