民主主義という悪/『なぜ世界は不幸になったのか』
本書には、ニーチェ、ショウペンハウエル、キルケゴールといった哲学者や、ヴェーバー、トクヴィル、バークなどの思想家たちに加え、ゲーテ、三島由紀夫といった作家など内外二十九人の「近代の悪に抵抗してきた先人」たちが登場する。構成は、まず各人の略歴を紹介し、著作からいくつかの文章を引用し、コメントを加えながら、思想のエッセンスを取り出すというシンプルなスタイルが取られている。日本からは、三島の他、新渡戸稲造、岡潔、福田恆存、小林秀雄、西田幾多郎、福澤諭吉、山本七平、開高健の九名が選ばれている。では、著者がこれらの「賢者」を選択した基準はどういったものなのか?
著者は、現代日本において「近代の猛毒、歪んだ歴史観が、『保守』を名乗る連中により撒き散らされている」という。さらに「国家の解体が権力の中枢において進められるというグロテスクな現象が発生している」ともいう。著者にとって「真っ当な」保守とは、「イデオロギーを警戒する姿勢」のことであり、「常に疑い、思考停止を戒める」ことであり、「安易な解決策に飛びつかず、矛盾を矛盾のまま抱え込む」ことであるという。この立場から、「石原慎太郎や橋下徹のようなアナーキスト、小泉純一郎や安倍晋三のようなグローバリスト」といった「俗流保守主義者」たちが厳しく批判される。また、著者によって広く知られることになった、「近代的諸価値を妄信する」《B層》の病理を、オルテガ・イ・ガセットやニーチェに拠りながら衝く。そして、「正気を維持するためには、正気の人間に学ぶしかない」のである以上、「歴史という地層により濾過され、磨きぬかれた古典」を読むべきであるという結論に達する。本書を入り口として、紹介されている原典を繙き、「賢者」と腰を据えて向き合ってみる。それが反知性主義が蔓延する時代にあっては、この本の「真っ当な」読み方である。
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