前町長「証拠を消せ」 電動ドリルでハードディスク破壊 「小渕優子」お咎めなしなら特捜部はいらない!

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 デタラメの上に粗暴とくれば、つける薬はない。小渕優子前経産相(41)の政治資金にまつわる捜査で、東京地検が関係先を捜索した際、パソコンのハードディスクが壊されていたことが判明。「捜査に協力」とうそぶく彼女がお筈めなしでは、秋霜烈日など無用である。

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 そのあまりに直截すぎる「証拠隠滅」は、

〈捜索前PC機器破壊 電気ドリルで穴〉(朝日新聞12月19日付朝刊)

 との見出しで報じられ、各社が一斉に後追いしたのだった。

 本誌が、小渕議員の政治資金収支報告書にまつわるデタラメぶりをお伝えしたのは10月中旬。わずか2週間の後、東京地検特捜部は関係先の一斉捜索に乗り出す。小渕家の「国家老」たる折田謙一郎・前中之条町長の自宅をはじめ、後援会幹部から私設秘書、役場の町長室までと、捜索は多岐にわたった。そうした中、群馬県高崎市の「小渕優子後援会」事務所にも、10月30日に家宅捜索が入ったのだが、

「実は捜索前、関係者らしき人物から“事務所のパソコンに手が加えられている”という通報が特捜部に寄せられていました。急ぎ強制捜査に踏み切ったところ、押収した複数のハードディスクが、電動ドリルで穴をあけられていたことが分かったのです」(司法担当記者)

 が、こうした“実力行使”について小渕事務所は、

〈証拠隠滅の事実は一切ありません〉

 そうコメントし、

「特捜部に対しても“ちょうどパソコンの取り換え時期だったため、不要になったディスクに穴をあけた”などと説明しています」(同)

 というから噴飯ものである。ITジャーナリストの井上トシユキ氏によれば、

「ハードディスクは、メールや文書ファイルなど様々なデータを記録しておくための装置で、人間でいえば記憶を司る脳の海馬のような部分です。CDやDVDと同じくデータを磁気によって記憶するので、USBメモリなどに比べて安定性も高い。ここにドリルで穴をあけるのは、簡単かつ確実にデータを消去する目的でしょう」

 とのことで、

「記録されたデータは、ハードディスクの1カ所にまとまっているわけではありません。分割され、様々な部分に分けて記録されている。しかし、99%の部分が残っていても、残り1%がなければ復元は至難の業です。たとえディスクを半分に割ったとしても、すべての破片が残っていれば復元できる可能性はありますが、今回はドリルのため、穴をあける際にディスクの一部が粉末状になって飛び散っているはず。その粉をかき集めるのは不可能でしょうから、データ復元は困難だと思われます」

 換言すれば、それだけ重要なデータが入っていたということになる。

 問題の政治資金収支報告書においては、後援会の恒例行事である「明治座観劇会」の収支が、2010年~13年の4年間だけでも合計3400万円以上の支出過多となっていた。が、議員本人はいまだ説明責任を果たさないままである。

「参加者らはいずれも実費を支払っており、破格の安価で観劇したというような事例は、現在のところ確認されていません」(前出記者)

 となると、会計を取り仕切っていた前町長の“裏金”か、はたまた私的流用か。さる政界関係者が明かす。

「折田さんは、特捜部に対しては“事務的なミスだった”と説明していますが、その一方、小渕議員の所属する額賀派の関係者には、“自分は一切、懐に入れていない”と言いつつ、“地元には正式な秘書以外にも、日々の後援会活動を無償で支えてくれる人が多くいる。そうした人たちには表立ってお礼ができないので……”などと仄めかしているのです」

 仮にこの通りだとすれば、政治資金規正法のみならず、公選法にも抵触するのは明白である。ともあれ、

「特捜部も、疑惑が発覚したのち、前町長が方々に“証拠を消せ”と指示を飛ばしていた事実は掴んでいます」(捜査関係者)

 その一端が、今回のドリル騒動だったというわけだ。

「特集 電動ドリル『小渕優子』お咎めなしなら特捜部はいらない!」より

週刊新潮 2015年1月1・8日新年特大号掲載

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