祖母が遺した一冊のノートから始まる旅/『夢を喰らう: キネマの怪人・古海卓二』

映画

 古海卓二といって即座に作品名が浮かぶ人はよほどの映画通だ。はじめに種明かしをすれば、活動写真の黎明期に活躍した古海卓二、またの名を貘与太平、通称バクヨタは著者の祖父にあたる人。古海の元妻で著者の母方の祖母である女優、紅沢葉子が遺した一冊のノートが、一度も会ったこともない「キネマの怪人」に著者を結びつけた。

 単なるルーツ探しといったものではない。そんなジャンルをはみ出して、ここで描かれる祖父・祖母の青春はおそろしく破天荒で型破りだ。小学校を出て働き始めた古海は、演歌師、新聞記者、浅草オペラの仕掛け人、脚本家と、時代の新しい空気をつかもうと、前のめりに手を伸ばし続ける。

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