誰も書かなかった「解放教育」とは何か/『差別と教育と私』

社会

 著者の上原氏は、取材者である「私」の立つ場所をはっきり示し、自分の個人史に重ねながら事実を描く、「私ノンフィクション」と呼ぶべきスタイルで作品を発表してきた。本書でも、大阪の被差別部落に生まれ、荒れた少年時代に解放教育を通して救われたことを明らかにしたうえで、もはや過去のものになりつつある解放教育・同和教育とは何であったのかを検証する。

 その「私性」には、一見地味なテーマに読者の襟首をつかんで目を向けさせるほどのつよさがある。たとえば少年時代に崩壊した彼の家庭では、別居中の両親の争いが絶えず、ついには母親が父親に刺され、中学生の著者が救急車を呼んだというのだから。

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