本屋大賞・NHK大河で注目集まる「村上海賊」 400年ぶりの当主集結

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 この春、「村上海賊」が熱い。小説・映画・大河ドラマで脚光を浴び、一大旋風が吹き荒れている。

 4月26日には、村上海賊の拠点であった愛媛県今治市で、村上水軍の三家(能島、因島、来島)の現当主三人が一堂に会することになった。実現すれば、約400年ぶりの歴史的再会となる。

信長を破った「日本最大の海賊」

 村上家は、南北朝時代から戦国時代にかけて瀬戸内海で活躍した一族。西は九州から東は塩飽(しわく)諸島まで東西約300kmにわたる海域を掌握していた水軍一家で、宣教師ルイス・フロイスは、当時の能島村上家の当主・武吉を評して「日本最大の海賊」と書き残している。大坂湾での大海戦「第一次木津川口の合戦」では信長軍を破り、信長の運命と日本史を変えたとも言われる。

きっかけは「本屋大賞」

 村上海賊に注目が集まったきっかけは、本屋大賞だ。受賞作は芥川賞や直木賞受賞作を遙かにしのぐ売り上げになると話題の賞。2014年の受賞作は4月8日に発表され、和田竜著『村上海賊の娘』が第一位となった。

『村上海賊の娘』は、戦国時代の「海賊王」村上武吉の姫・景(きょう)を主人公に描き、天下統一に躍り出た織田信長に村上水軍が闘いを挑む、血沸き肉躍る物語だ。

地元、映画、大河ドラマにも海賊ブーム到来

 本屋大賞で村上海賊ブームは一気に加速。地元今治市の市役所では本屋大賞受賞を祝う懸垂幕が掲げられ、当地の「村上水軍博物館」では、本屋大賞発表後の入場者数が昨年比で2.5倍超になっている。

 また5月31日には映画『瀬戸内海賊物語』も公開される。こちらは現代を舞台にした、村上水軍の残した財宝をめぐる物語。

 NHKの大河ドラマ『軍師官兵衛』でも織田軍と毛利軍の争いを中心にドラマが進み、こちらでも村上海賊を擁する毛利水軍の活躍に信長軍は翻弄されている。

村上三氏の当主も集結

 約400年ぶりとなる再会の舞台は今治市。村上水軍博物館開館10周年記念事業として行われる『村上海賊の娘』の著者・和田竜氏の講演の場に、戦国時代より三家に分かれていた村上家の三当主が集結する。能島村上家御当主・村上文朗さん(山口県在住)、来島村上家御当主・久留島通則さん(大阪府在住)、因島村上家御当主・村上典吏子さん(東京都在住)。

 講演会は4月26日。残念ながら入場整理券の配布は『村上海賊の娘』の人気により早々に終了してしまったが、村上水軍博物館では企画展「小説『村上海賊の娘』の世界」を開催中だ。『村上海賊の娘』のイラストや校正刷り、陣羽織などの展示で、「海賊」の世界にワープし、このゴールデンウィーク、一大ブームにどっぷり浸かってみてはいかがか。

デイリー新潮編集部

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