空前の浮世絵ブーム到来! 知ってますか? 北斎と広重「富士山」の違い

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 現在、江戸東京博物館(東京・両国)で開催されている「大浮世絵展」が、空前の人気となっている。1月末には来場者が10万人を突破。休日ともなれば朝から長蛇の列となって、すぐには入場できない人気ぶりだ。大英博物館やシカゴ美術館といった海外所蔵の、すぐれた保存状態の一級品が揃っているほか、誕生から20世紀まで、浮世絵の全歴史を概観できる展示内容が人気の秘密のようだ(3月2日まで。以後、名古屋、山口に巡回)。

■北斎の娘はイラスト風タッチ? 浮世絵に新たな光

 実は今年は「国際浮世絵学会」創立50周年ということもあってか、近年にない浮世絵ブームとなっている。

 たとえば太田記念美術館(東京・原宿)では、葛飾北斎の娘で絵師の葛飾応為をクローズアップする「葛飾応為〈吉原格子先之図〉―光と影の美」が開催されているが、まるで現代イラストを思わせる意外なタッチで、こちらも連日大盛況だ。

 ブームは展覧会のみにとどまらない。老舗劇団の文学座は、4月11~22日、三越劇場で『夏の盛りの蝉のように』(吉永仁郎作)を上演する。葛飾北斎や歌川国芳といった江戸時代後期の浮世絵師たちが登場する戯曲だ。

■北斎と広重が「対決」

 そんな中、ユニークな浮世絵本が刊行される。2月28日に刊行される『ザ・富士山―対決! 北斎vs.広重―』(赤坂治績著、新潮社刊)だ。実は、2大浮世絵画家の葛飾北斎と歌川広重は、それぞれ、同じ場所から同じ富士山を描いた作品を大量に残している。それらを並べて、ちがいを楽しみ、勝敗を決めるという内容。中には、どう見ても同じ場所から見た富士山とは思えない絵もあり、2人の個性がはっきりわかって面白い。いわば「強烈個性」の北斎に対し、「じっくり写実」の広重とでもいった感じだろうか。

 展覧会、舞台、出版と、今年の浮世絵ブームはまだまだ続きそうだ。

共に同じ場所から描かれた富士山(左=広重、右=北斎)

デイリー新潮編集部

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