日本版NSCは中国との開戦を決断するのか? 絶大な権力を持つNSCとは

政治

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 昨年末に安倍晋三総理の肝いりで発足した国家安全保障会議(日本版NSC)。「会議」という言葉の響きからか、何となく「首相のためのシンクタンク」や「有識者委員会」のような組織をイメージしている人も多いことだろう。

 しかし、実際にはもっとシビアな判断を迫られる組織だというのが外交・インテリジェンスの専門家の見方だ。元外務官僚で作家の佐藤優氏と作家・外交ジャーナリストの手嶋龍一氏は次のように指摘する。

「日本版NSCをひとことで言えば、究極の有事に遭遇して、日本が戦争に突き進むのか否かを決める機関といっていいでしょう」(佐藤氏)

「日本版NSCを創設する法律には、直接的にはそんな表現を使ってはいないのですが、佐藤さんが断じたように、開戦か和平かを実質的に決める重要な機関です」(手嶋氏)

「中国の人民解放軍が尖閣諸島を武力で侵してきた時、これに応じて戦端を開くか、あくまで平和的な外交交渉に頼るのか、総理が実質的に最終決断をくだす場となるのが、この日本版の国家安全保障会議です」(佐藤氏)
(発言はいずれも二人の共著『知の武装』より)

 物騒な、と思われるかもしれないが、そもそもこの組織のお手本となった、本家アメリカのNSCの役割はそれどころでは済まない。この点について詳細に解説しているのが、『日本版NSCとは何か』(春原剛・著)だ。

 アメリカの大統領が外遊する場合、NSCトップである安保担当補佐官(SA)はブリーフケースを持って、大統領に寄り添って離れないようにしているという。このブリーフケースの俗称は「フットボール」。戦略核兵器の発射命令を下すための装置である。

 つまり「いざ」という時に大統領が指をかけねばならない、「究極の引き金」を持ち歩くのが、NSCトップの役目なのだ。もちろん、本家NSCは別に核戦争を推奨する立場にあるわけではない。大統領が適切な判断を下すために創設された機関であり、アメリカにおいては絶大な権力を持っている。

 アメリカから半世紀ほど遅れて発足した日本版NSCはこれからどのように機能するのか。シビアな判断を下す局面が来ないに越したことはないが、常に注視していく必要があるだろう。

デイリー新潮編集部