天皇陛下の外国ご訪問は大使100人分の働き? 元東宮侍従「それは間違いです」

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竹元正美(新潮講座)

■“皇室外交”のパワー

 11月30日から12月6日までの日程で、天皇皇后両陛下がインドを訪問されました。前回のご訪問はご成婚翌年の1960年といいますから、実に53年ぶりのことです。当時植樹され、今では大きく成長した菩提樹を懐かしそうに見上げられるお姿が、そのまま日印の友好の歴史を物語っていました。昨年心臓のバイパス手術を受け、今も前立腺ガンの治療を続けられている天皇陛下。今年の誕生日で80歳を迎えられますが、いまだ外交において重要な役割を果たされているのです。

皇室のお姿―その重要な役割―」(新潮講座)講師の竹元正美氏は、「よく天皇陛下の外国ご訪問は、大使100人分の働きに匹敵すると言われますが、それは間違いです」と言います。「皇室の役割は、大使の役割とは異次元の重要性を有しているのです。比較することはできません」。
 天皇陛下の皇太子時代には東宮侍従を務め、その後外務省でホンジュラスとウルグアイ大使を務めた竹元氏の言葉だけに、重く説得力があります。
 インドは経済発展めざましく、日本から進出する企業も急激に増えています。経済関係において今後日本の重要なパートナーとなっていくものと期待されています。天皇皇后両陛下のご訪問はそんな世事とは切り離して考えられるべきものですが、しかし親善関係を築く上で大きな力を発揮されたことは間違いないことです。

■歴史とともに歩む皇室

 皇室は、神話に彩られた古事記の世界から貴族社会、武家の時代、現在の民主主義の時代へと国民とともに歩んできました。こういった歴史の転換期にいつも大きな役割を果たしてきたのが皇室です。
 他方、壬申の乱、南北朝時代、幕末の動乱期、太平洋戦争での敗戦など、皇室の危機ともいえる時期もありましたが、その度にこれを乗り越えてきました。
 歴史に学ぶならば、これからも皇室の存在は日本の発展にきっと重要な意味をもつことでしょう。

デイリー新潮編集部

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