証言者の眼に映るいくつもの像/『安井かずみがいた時代』

芸能

「危険なふたり」「よろしく哀愁」「わたしの城下町」など安井かずみがのこした数々の曲は、いまも歌い継がれて色褪せない。「ZUZU」の愛称で呼ばれた才能あふれる若い作詞家は、ファッショナブルな衣裳に身を包んで雑誌のグラビアを飾り、ミュージシャンの加藤和彦と結婚してからは理想のカップルとして脚光を浴びた。肺がんのため一九九四年に五十五歳で亡くなるまで、その輝きに翳りはなかった。
 つねに先端を走り続けた安井を描くことは、彼女が体現した時代を描くことでもある。おしゃれで贅沢でセンスがよく、四千もの曲を紡いで矢継ぎ早に世に送り出した安井が輝いたのは、日本が一番元気だった時代である。

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