物語は物語で繋がれる 酒井若菜/私の名作ブックレビュー【書評】

文芸・マンガ

 太田光さんの紡ぐ物語はいつだって優しくて温かい。読者が抱える見えない未来に希望を持たせてくれる。[荊の姫]の舞台は、いつの時代のどこの話なのか明確にされていない。しかし「今ではなく」「ここではない」「誰か」を描くことで、何故か読者は「今」と「ここ」と「自分」を感じることができる。

 その繊細な感情表現は、いつも私の心を奪う。一方で[人類諸君!]では、TVと変わらぬ太田イズムがいかんなく発揮され、[タイムカプセル]や[ネズミ][魔女]での多角的な描写は、弱者が持つ力と強者が持つ力を同時に包容している。

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