「藝人」たちに注がれた博士の異常な愛情/『藝人春秋』

芸能

 ブラウン管(今では液晶画面というべきか)の上に、泡沫のように浮かんでは消える「芸人」たちの消息など誰も気にもかけないし、気にする必要もない。面貌と名前がかろうじて一致する頃まで生き延びることが出来れば、まずまずの首尾といえる。観客としてみれば、おもしろおかしい彼らの表層をひととき楽しめればそれで充分なのだ。
 しかし、彼らも一人の人間である以上、秘められた内面や懊悩を抱えているのは当然だ。著者は、彼らが生息し、自らもその一員である世界を「この世のものとは思えぬあの世」と書き、この異界で「目にした現実を『小説』のように騙る」。

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