名門「暁星学園」で起きた刺傷事件、友人関係の悪化か

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《キリスト教の理念に基づく教育により、人格の完成をめざすと共に社会の福祉に努める人物を育成する》

 このように殊勝な建学の精神を唱えていた、暁星学園で刃傷沙汰である。

名門校でいったい何が…(イメージ)

 東京都千代田区にある少数精鋭の進学校として知られる私立暁星高校。高校1年の16歳の生徒が、教室内でナイフを取り出し、他の生徒2人と教諭の計3人に切りつけるという事件が発生したのは、17日のことだった。

 社会部記者が言う。

「事件は4時間目の終了間際に起きました。翌日から中間テストを控えて、自習を行っている時に、生徒間で喧嘩となったのです。一人の生徒が刃渡り10センチの折り畳み式ナイフで生徒2人の肩や鎖骨あたりを切り、さらに騒ぎを聞きつけて止めに入った教諭の指にも切りつけたのです」

 負傷した3人は、救急搬送されたが、幸いにして軽傷。16歳の生徒は、駆け付けた警察官によって傷害容疑で現行犯逮捕された。

 暁星高校と言えば、今年も東大合格者を15人輩出する一方、サッカーでは全国大会に出場したことがある強豪校として名を轟かせ、松本幸四郎や北大路欣也など、著名な出身者も多数。幼稚園から高校までの一貫校で、捕まった生徒は、中学から編入していた。

 いったい何が、ナイフを振りかざす衝動に少年を駆りたてたのか。

「以前から2人にからかわれていて、カッとなった」

 と供述しているというが、捜査関係者によれば、

「留置場では、落ち着いています。先生には、悪いことをしたと言っていますが、友人2人への反省の弁は出てきていません。生徒3人は仲良くつるんでいた友人で、最近、仲が悪化したらしく、怪我をさせようと思ったが、殺そうとまでは考えていなかったようです。本人もいじめ云々があったというようなことは、まだ口にしていません」

 だが、先の記者によれば、

「少年は、1年ほど前から、保護者を通じて、学校に友人関係で悩んでいると相談していたことが明らかになっています」

 学校は少年からのシグナルを察知できなかったか、あるいは、建学精神に則る人格を育成できなかったか。学校の看板が受けた傷は浅くない。

週刊新潮 2016年10月27日号掲載

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