デイリー新潮

社会

リオ五輪の新体操強化本部長「山崎浩子」が統一教会を脱会するまで

現在発売中

週刊新潮 2017年3月30日号 
2017/3/23発売

ネット書店で購入する

 華やかな新体操の世界にあって、「彼女」はどこか翳(かげ)りを帯びているように感じられるという……。新体操日本代表、通称「フェアリージャパン」。リオ五輪に挑む彼女たちを率いるのは強化本部長の山崎浩子氏(56)だ。彼女が統一教会脱会記者会見を開いたのは、今から23年前のゴールデンウイーク直前のことだった。

 ***

新体操強化本部長の山崎浩子氏

 まず、フェアリージャパンについて、

「山崎さんの功績もあり、昨年の世界選手権で40年ぶりに団体種目別リボンで銅メダルを獲得。リオ五輪でも、もしかしたらメダルに手が届くかもしれません」

 と、スポーツ紙の新体操担当記者が解説する。一方、

「正直に言ってメディア対応が素っ気ない彼女は不評を買っています。やはり、『例の騒動』が尾をひいているんでしょうね」

 1992年8月、美貌の元新体操選手として人気を誇った山崎氏は文鮮明氏率いる統一教会の合同結婚式に参加。彼女が霊感商法などで悪評を轟かせていた教会の「広告塔」となっている姿に世間は騒然となった。

「あの山崎浩子さんを脱会させるとなれば、統一教会が必死に止めにかかるのは容易に想像がつきました。だから実は最初、彼女を脱会させるのは無理だろうと思っていたんです」

 こう振り返るのは、それ以前から他の会員の脱会を手助けしていた牧師の杉本誠氏(67)だ。だが、相談にやってきた山崎氏の姉夫婦や、叔父夫妻までが脱会に向けて戦う意志を見せたことで、彼は「本気」になる。

■「覚醒」の決定打

「合同結婚式翌年の3月、浩子さんが正式に入籍する直前、彼女がひとりになる『空白の時間』があることが分かった。そこでお姉さんが浩子さんを救出し、私は浩子さんに会うことになりました。統一教会がいかに問題組織であるか説明すると彼女はメモを取っていた。教会に戻って、どう説得されたのか報告するつもりだったんでしょう」(同)

 しかしその翌日、

「浩子さんに会った仲間の牧師によると、彼女は泣いていて、メモを取るのも止めたという。気持ちが揺らぎ始めているのが分かりました。再び私が浩子さんに会い、教祖と信者が性交渉する『血分け教』の無茶苦茶ぶりを説明すると、彼女は号泣。それでも浩子さんは『統一教会を辞めたら、私は殺されるのでしょうか』と怯えていました」

 こうした杉本氏による脱会活動が知れると、彼には尾行がつき、また「結婚」相手の勅使河原(てしがわら)秀行氏が「逆奪回」に出るなど、事態は混迷を極めた。だが皮肉なことに、この勅使河原氏の行動が、山崎氏を「覚醒」させる決定打となった。

「かつて彼女が勅使河原さんのことを『愛している』などと認(したた)めていた手紙を、彼はテレビで公開。この放送を私は浩子さんと一緒に観ていたんですが、彼女はその場で結婚指輪を外し、ゴミ箱に捨てていました。普通、『妻』の手紙を許可なく公開しませんからね」(同)

 そして93年4月21日、山崎氏は記者会見を開き、自ら「脱洗脳宣言」をするに至ったのだった。

 その後も暫(しばら)く、杉本氏の自宅の近所では、「何者」かによってあらゆる電信柱に中傷ビラが貼られるなどの嫌がらせが続いたという。

「あのまま浩子さんが勅使河原さんと入籍し、完全に同居していたら脱会はまず不可能でした。あそこが最初で最後のチャンスであり、奇跡だったのです」(同)

 リオ五輪でフェアリージャパンにメダルをもたらし、山崎氏自身も妖精のような真の笑顔を見せることが、杉本氏への最大の恩返しになるに違いない。

「ワイド特集 淑女たちの疾風怒濤」より

  • 週刊新潮
  • 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号 掲載
  • ※この記事の内容は掲載当時のものです

この記事の関連記事