今年の新聞協会賞は受賞作ナシ、朝日新聞は熊本地震で大誤報…目覆うばかり「全国紙の劣化」はなぜ起きたのか
〈日本新聞協会が年1回、優れた報道の担い手に贈る賞です〉。1957年に創設された「新聞協会賞」のホームページに記された紹介文だが、今年はなんと全国紙に受賞記事はなし。とはいえ、日頃から新聞に接していれば、それほど驚くに値いしないかもしれない。紙面には大仰で空疎な文字が並び、大国のトップにむなしい命令を下すばかり。新聞から“優れた報道”が消えた原因は何なのか。元新聞記者を中心とした識者の分析とともに、斯界を覆う病巣に迫る。
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新聞各社からの応募総数はのべ108件。この中から新聞の“心臓部”とも呼ぶべき「ニュース」部門で受賞を果たしたのは、福岡県議会のさまざまな疑惑を報じた西日本新聞社〈調査報道「歪んだ関係―福岡県政を追う」〉だった。
今年の「受賞なし」という事実からは、端的に全国紙の劣化を読み取るべきではないだろうか。実際朝日新聞は、7月の熊本地震の際、劣化を象徴するような大誤報を出していた。
「7月29日に朝日新聞は〈『真っ暗で煙吸った』 崩落のイオンモール、途絶えた彼女のLINE〉という記事を配信しました」
とは、朝日新聞関係者。
「“イオンで働いていた交際相手と連絡がとれない”と語る男性の記事でした。ところが、該当しそうな被害女性が実在しないなど、男性の話に疑わしい点が次々と見つかった。見出しにもあるようにLINEのやりとりがキモなのに、なぜか担当記者はLINEの画面を確認していなかったことも判明した」(同)
朝日新聞は最終的にこの記事を“取り消し”したが、この体たらくはどうしたことだろうか。
「劣化の原因はいろいろあるでしょうが、各社が“お手々つないで”という馴れ合い体質になり、特ダネを競い合う気持ちがなくなっているように思います」
そう嘆くのは、読売新聞社会部OBでジャーナリストの大谷昭宏氏である。
「私の現役時代の新聞協会賞として真っ先に思い起こす記事といえば、サンケイ新聞(当時)の『連続企業爆破事件の犯人グループ、きょういっせい逮捕』。当時、私は大阪社会部に在籍していましたが、度肝を抜かれるような大スクープで、深夜、上司に叩き起こされた苦い思い出があります」(同)
氾濫する「ポエム記事」
スクープ競争の代わりに横行しているのが、
〈この夜、2人で世界の頂点をつかんだ。逆境には屈しない。道は自分で切り開く。めざしたプログラムが完成した〉
〈思いやりの心は世界共通。助けられた選手たちにとって世界選手権は、悔しさを力に変え、再び前を向いた姿を示す舞台となる〉
といった「ポエム記事」である。
記者が“体験してみた”系の記事も枚挙に遑がない。〈初夏の冨里 スイカと快走〉(6月16日付読売新聞)は、記者が千葉県・富里市の特産品であるスイカのかぶり物を着用してマラソン大会に参加するという“寒い”趣向だった。
こうしたポエム記事の氾濫の原因として、新聞記者の減少やネットメディアからの影響があげられる。さらに、コンプライアンスや「働き方改革」などの導入が新聞社の体質を根底から変え、記事の劣化につながったという識者もいる。
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新潮QUEで配信中の記事【氾濫する「ポエム記事」に無意味な「社説」 「新聞協会賞」“受賞作なし”全国紙はなぜ劣化したのか】では、ポエム記事や無意味な社説の豊富な実例とともに、全国紙の実態や劣化の原因について詳しく報じている。


