FRUITS ZIPPERに「不仲説」…わずか数秒の動画でファン騒然 なぜここまで騒動が広がったのか

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発端はYouTube

 人気アイドルグループ・FRUITS ZIPPERの一部のファンの間で、メンバーの仲川瑠夏と月足天音の「不仲説」がささやかれている。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 発端となったのは、9月18日にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で公開された仲川のソロデビュー曲「朝にならないで」の動画だった。歌唱後にはFRUITS ZIPPERのメンバー全員が登場して仲川を祝福したのだが、そこで仲川が月足だけを避けている、月足が輪から外されているように見えるという指摘が相次いだ。

 たしかに、実際の動画を確認してみると、仲川が自分を囲むメンバーに順番に話しかけたり、手を取ったりする中で、月足だけが順番を飛ばされていたり、月足に向き合うはずのタイミングでカットが切り替わり、不自然な画角になっているように見えた。

 この動画がSNS上で取り上げられて物議を醸している中で、仲川が体調不良となり、9月27日の「NHKのど自慢」への出演を見合わせたことも、さらに憶測を呼ぶ材料になった。その後、9月30日と10月1日に大阪・グランキューブ大阪メインホールで開催される公演も欠席することが発表された。

 だが、公式に発表されているのはあくまで体調不良による休業であり、それを不仲説やSNS上の騒動と結びつける根拠はない。問題となった動画の内容も、それだけでメンバー同士の関係性が断定できるようなものではない。

 所属事務所のアソビシステムは9月26日、FRUITS ZIPPERについて「事実と異なる内容による批判」や「憶測・根拠のない情報に基づく投稿」などが多数見受けられるとして注意を呼びかけ、行き過ぎた行為については法的措置を講じる可能性にも言及した。

 ただ、それでも現在に至るまで騒動が収まっていないのは、現在のアイドル文化の特殊性によるものだと考えられる。

 一昔前のアイドルにとって重要なのは、ステージやテレビ番組などの表舞台で魅力的に見えることだった。しかし、SNS時代のアイドルは、メンバー同士が普段どのように話していて、誰と誰が仲良くしていて、誰の隣に誰が立つのかという「関係性」までがコンテンツになっている一面がある。

 FRUITS ZIPPERはそんな現代を象徴するグループである。2022年にKAWAII LAB.からデビューし、「わたしの一番かわいいところ」がTikTokを中心に爆発的に広がって人気を獲得した彼女たちは、テレビの音楽番組からスターになった世代ではない。

 短い動画やSNSを通じて、それぞれのキャラクターやメンバー同士の関係性が知られるようになって、そのことでファンとの距離を縮めてきたグループである。

 これはFRUITS ZIPPERの大きな強みである一方、リスク要因でもある。ファンはメンバーの性格だけではなく、人間関係までよく知っているような感覚を持つようになるからだ。

「この2人は親友」「このメンバーはこのメンバーをかわいがっている」といった関係性が一種の連続ドラマとなり、その関係に少しでも変化が見えると、ファンはその理由を知りたくなる。

 特に、以前は親密に見えた組み合わせほど、この現象は起こりやすい。「最初からあまり絡まない2人」なら誰も気にしないが、「昔はあれほど仲良く見えた2人」が絡まなくなれば、それ自体がニュースになる。

 アイドルが自分たちの日常を積極的に発信するようになった結果、何かを見せることだけでなく、「以前は見せていたものを見せなくなること」にまで意味が読み込まれる時代になった。

 FRUITS ZIPPERがこれほど注目されるようになったのは、7人それぞれの個性がはっきりしていて、その7人が集まったときの楽しそうな空気まで含めて愛されてきたからだ。その関係性にわずかな違和感が見えるだけで、ファンは強く反応する。

 今回の騒動から見えてくるのは、アイドルの見られ方の歴史的な変化である。SNSによってアイドルの日常が以前とは比べものにならないほど身近になった一方、その近さは「自分たちは彼女たちのすべてを知っている」という錯覚を生む。

 数秒の映像から人間関係の真実を読み解こうとする人々が広めた「不仲説」は、アイドルが身近になった時代を象徴するものなのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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