「テニスに明け暮れ、理系から文転」 一番の親友が語る「新財務次官・宇波弘貴」の素顔

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 8月7日付で主計局長を退任し、財務次官に就任した宇波弘貴氏(61)。少子高齢化が加速し、社会保障費の膨張が続く日本財政の最前線に立つことになった新次官とは、いかなる人物なのか。東京大学の同級生であり、大蔵省(現・財務省)の同期でもある前衆議院議員の大串博志氏が、学生時代から官僚人生の歩みまで、その素顔を率直に語った。

「テニスと文転」 型破りな東大時代

 宇波君と私は、2人とも1浪していて、ともに昭和59年(1984年)に東京大学に入学しました。

 東大には「トマトテニスクラブ」というテニスサークルがあるんですが、2人ともそこに入り、彼と出会いました。テニスサークルとはいえ、かなり真面目で硬派な、一生懸命テニスをやるサークルです。後輩には木原誠二君なんかもいる。役所に入った人間が結構多いんですよ。学生時代は、私も彼もテニスをごりごりやっていました。私がキャプテン、彼もレギュラーとして、テニスに打ち込んだものです。

 東大では1、2年生は教養学部前期課程で勉強し、3、4年生で本格的な学部に進みます。2年生から3年生になる際の「進振り(進学振分け)」で学部を決めるんですが、文1の人は法学部へ、文2は経済学部へ、というように基本的なルートが決まっています。

 ところが宇波君は理2で入学してきた理系。それでも文科系の仕事に就きたいという思いを持ち、文転のために頑張ったんです。当時から、彼には国家の運営に携わりたいという気持ちがあったんだと思いますね。

 ただ、理系から文系の学部に行くのはすごく難しい。1、2年生では文1の私は文系の教養科目を、理系の宇波君は理系の教養科目を履修するわけです。他学部を目指すなら、その成績がずば抜けていないといけない。かなりの狭き門なんですね。宇波君も本当に苦労していましたよ。

 1回目は上手くいかなかった。2年生から3年生に進む際に文転できず、1年留年して、もう1年余分に2年生を過ごすことになりました。そうして遅れて経済学部に入ることになったんです。

図書館の同志、そして大蔵省の同期へ

 こうして宇波君が1年留年することになるわけですが、大蔵省では私と同期になります。というのも、私自身も公務員試験に失敗したんです。4年生の時に初めて受験したんですが、テニスのやりすぎで……(笑)。1年留年し、5年目の時に合格しました。宇波君は2年生を2回やっているので、彼が4年生の時が私の大学5年目に当たる。ちょうど同じタイミングだったんです。

 試験前は、東大の図書館で毎日一緒に勉強していましたね。彼は成績も良かったから卒業が視野に入っていたし、私も「5年目はもう落ちられない」とさすがに真面目にやりました。

 行き帰りの路線も同じだったんですよ。彼は練馬の方で、私は池袋の一つ外側。つまり2人とも西武池袋線だったわけです。同じ路線で乗ってきて、図書館で勉強して帰る――そんな日々でした。だから一番仲が良いのは、私は宇波君だと思っているし、宇波君も私だと思っているんじゃないでしょうかね。

 大学生活の後半は、2人とも公務員を目指して、お互いの夢を語り合っていましたね。城山三郎の『官僚たちの夏』(新潮文庫)を読んで感動したり、昭和初期に財政再建のため緊縮財政と「金解禁」を断行した浜口雄幸と井上準之助を描いた『男子の本懐』(新潮文庫)に熱くなったり。戦間期に金解禁を断行し、テロリストに撃たれた首相と蔵相の話ですが、国家のために命を懸けた人たちの本を読みながら、2人で国家論を語り合っていました。

 今思うとアホな話で、宇波君と2人で青山霊園にある浜口雄幸の墓にお参りに行きましてね。墓石に頭をガンガンとぶつけて、どちらが言ったのか、「この痛みと共にこの思いを忘れないようにしよう」なんてね。相当燃えていましたよ。熱い青春でした。

 広田弘毅・元総理大臣を描いた同じ城山の『落日燃ゆ』(新潮文庫)なんかも読んで、「公のために命をかけて働くんだ」という熱いことを語っていましたね。若かったなぁ。

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 テニスサークルで汗を流した青春、理系から文転するための孤独な奮闘、図書館で肩を並べて過ごした試験前の日々――。「律儀で、嘘もつかない。非常に信頼感が持てる人」と評する大串氏の言葉には、長年にわたる友情と、かつての同志への敬意がにじむ。

 新潮QUEで配信中の記事【「東大テニスサークルで…」「同期会では…」親友・大串博志が明かす新財務次官「宇波弘貴」の実像】では、財務省に入省したのちの宇波氏のキャリアや、「誰よりも親しい」と語る大串氏だからこそ知る宇波氏の人となりについて、より詳しく伝えている。

デイリー新潮編集部

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