「睡眠は0~3時間」高市首相の「睡眠不足」はリウマチの悪化にもつながる

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 高市早苗首相の「寝てないアピール」が大いに話題となっている。

 20日夜、高市首相は近況について次のようにXに投稿した。

「この土日も、閣議決定を目前に控えた3本の文書の最終案を再度読み込んだり、数千通も溜まってしまったメール処理で今日(月)の明け方まで仕事に追われていましたが、今日の海の日の午後は、私的に使える貴重な時間になりました。

 平日は、公邸に戻ってから、風呂掃除、入浴、夕食、夕食後の洗い物、洗濯、簡単な掃除まででプライベートな時間は精一杯で、後の深夜時間帯は明け方まで官邸から持ち帰りの資料読みや国会答弁資料読みに追われます。

 今日のお休みは本当に有難く、久々に5時間も睡眠を取れた上(総理就任以来、0時間~3時間睡眠が常態化)、昼からは、手付かずだった大量の洗濯後のハンカチやインナーのアイロンかけと、お裁縫(スカートの裾のほつれのまつり縫いやジャケットの緩んだボタンの補強)を一気に処理。

 私は特にアイロンかけが下手で時間がかかるので、つい先延ばしにしていた結果、スーツに合わせるインナーが殆ど無い状況に。

 これで会期末までのハンカチとインナーを確保でき、明日から又、頑張れます!」

 首相は「明日から又、頑張れます!」と前向きに締めくくっているので、「忙しいけれども頑張っている私」をアピールしようとしたと見られる。が、目下、どちらかというとネガティブな受け止めのほうが目立つ。主な批判ポイントは以下のようなものだ。

・「数千通」も溜まったメールの処理は首相個人が仕事で対応すべきものだろうか。

・風呂掃除からお裁縫、アイロンがけに至るまで、家事が気分転換になるのなら良いが、そうでないのならば他人に任せたほうがいいのではないか。首相の年収は昨年3600万円超、首相公邸は家賃も光熱費も不要なのだから余裕があるだろうに。

・「0~3時間の睡眠が常態化」というのはまともではない。自慢にもならない。業務にも影響をきたす状況である。

 特に睡眠時間については、同情よりも「仕事ができない奴の言い草だ」といった厳しい批判が目立つ。首相が睡眠不足というのは、危機管理上も大いに問題があるのは間違いない。また「私は寝てないんだ!」と言って猛烈な批判を浴びた大企業のトップを思い出した向きもいることだろう。

 むろん世の中には睡眠時間が短くても大丈夫という人もいる。睡眠医学の専門家であるメライン・ファンデラール博士は著書『熟睡力』(國森由美子訳)の中で、いわゆる「8時間神話」に代表される「睡眠時間の長さ」を重視する考え方にとらわれるべきではないと述べている。重視すべきは「質」なのだ、と。

 しかし一方でファンデラール博士は同書で高市首相にとって気になる指摘もしている。睡眠と「痛み」の関係、そして「仕事のパフォーマンス」との関係だ。長年、リウマチの痛みに苦しんできた首相は、かつてそれを理由に大事な討論会をドタキャンしたこともある。残念ながら寝不足は、身体の痛みを悪化させる要因になるという。また、資料を読み込むのは国会や外交といった業務のためだろうが、その結果、翌日のパフォーマンスが良くなることもないようだ。

 以下、『熟睡力』から抜粋してみよう(同書をもとに再構成しました)。

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痛みと睡眠の関係

 痛みと睡眠との関係は明らかである。慢性的な痛みを抱える人の多くが夜よく眠れずに苦しんでいるのではないかと研究者たちは見ている。慢性的な痛みを抱える人の24~34%が慢性の不眠症に苦しんでおり、一般人口における割合のほぼ2倍である。

 眠れないのは痛みの結果で、その逆ではないと思うかもしれない。背中の痛みや頭痛で眠れないのは当然だが、関係はもっと複雑なようだ。

 実際、不眠は慢性的な痛みが生じるリスクを高めるが、その逆ではない。米国・ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究者たちは、2013年の大規模な調査の結果、不眠症の症状は慢性頭痛や偏頭痛を引き起こす可能性を高めるが、慢性頭痛や偏頭痛が不眠症の発症リスクを高めるわけではないと発見した。

 慢性的な痛みに加え、不眠症に悩まされていると、より重度で長期にわたる痛みにさらされ、日常生活に大きな悪影響を受けかねないのだ。

 睡眠が妨げられると痛みにも悪影響が及ぶようだ。ならば睡眠問題の治療は痛みの緩和に役立つだろう。痛みに苦しむ人々がその治療に加えて睡眠問題の治療を受けると、痛みの日常生活への悪影響が低減され、疲労や憂鬱の減少を示す。痛みに悩まされているなら、痛みの治療だけでなく主観的な睡眠の質にも注意を向けるといいだろう。

 この発見の背景にあるものとは? 一つの説明としては、不眠症の場合、痛みという刺激に敏感になるということが挙げられる。ある研究では、痛みによる睡眠の問題が大きくなると、電気刺激による痛みにもより敏感になるとわかった。

 ストレスや健康への不安が不眠症の症状を悪化させることもある。不安が過度の覚醒を生み出し、主観的な睡眠の質の低下につながるというのが仮説である。痛みを感じている身体は進化論的にいうところのサバイバルモードになり、周囲の危険をすばやく察知するようになる。こうした警戒モードは夜ぐっすり眠ることの役には立たない。

大事なプレゼンの前にはちゃんと睡眠を

 眠れない夜を過ごした翌日、物忘れに悩まされたことはないだろうか? 前の晩よく眠れず、どうも新しい情報が頭に入って来ない……とか。睡眠問題は集中力や学習と関連することが多い。

 私にも覚えがある。ろくに眠れず職場へ急いで向かったことがあった。長い午前中が終わってランチタイムの時、ズボンのお尻に靴下が片方ぶらさがっていると言われた。前日に履いた靴下の片方が中に残ったまま慌ててズボンを穿いていたのだ。注意してくれた同僚は、その後いつまでもその出来事を蒸し返してくれたものだ。

 記憶は様々な部分から成っている。言葉を覚えるのは、自転車に乗るのを学ぶのとは異なる脳の部分を使っている。前者の宣言的記憶は事実についての知識の学習と関連し、後者の非宣言的記憶は技術学習と関連している。意味のない言葉を記憶する仕組みについて研究したドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスは、早くも1885年に宣言的記憶と睡眠の関連性について記している。エビングハウスは、よく眠った後であれば、そうした情報をよりよく思い出せることを発見した。

 睡眠は宣言的記憶、非宣言的記憶の両方の機能に影響を及ぼす。(略)深い眠りはおそらく、以前に学習したことを再活性化し、情報をよりよく脳に蓄える。試験前日の夜更けまで勉強することが賢明と言えない理由だ。何かを勉強中なら、夜には決まった時間に学習を切りあげ、何かリラックスできることをするといい。早くからベッドに入ってはいけない。睡眠圧が充分に高まっていないからだ。とはいえ、就寝時刻はあまり遅くならないように。そうすれば万事うまくいく。翌日大事なプレゼンテーションがある場合も同じだ。

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 身体に不調を抱えているならば睡眠をきちんと取らねばならない。試験や大事なプレゼンテーションの前も同様。睡眠時間が短いことをアピールしても、単に能力が疑われるだけだろう。資料や法案、メールを読むのはもちろん大切な仕事だろうが、ファンデラール博士の話に耳を傾け、熟睡力を身につけてもいいのではないか。

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