選手を背番号で呼び、専門用語も使わない それでも本田圭佑のサッカー解説が面白すぎるワケ
「リアルな思考」の再現
視聴者が本田から受け取っているのは、整理された分析結果ではない。一流選手が試合をどう見て、何に違和感を覚え、どの瞬間に危険を察知するのかという「リアルな思考」の再現なのだ。
選手の名前を知らなくても、その選手が試合を支配していることはわかる。細かなデータを覚えていなくても、守備陣のポジションや動きを見れば攻略すべき場所は見えてくる。本田は自分自身の経験に基づいて、ピッチ上でいま何が起こっていて、どうすればいいのかを本能的に判断して、それを言葉にしている。そこにほかの解説者にはない生々しさがある。
しかも、本田は難しい専門用語を使わないので、その言葉はサッカー初心者にもわかりやすい。ガクポの動きが良いことを説明するのに「11番、めっちゃウザい」と言う。オランダ代表の身長が高いことを説明するときに「オランダはとにかくデカい。トイレも便器が高い」とわかりやすい具体例を出す。
誰にでもわかる言葉でサッカーの奥深さや面白さを表現してくれる。その上、得点シーンなどでは視聴者と一緒に感情をあらわにして興奮してみせる。サッカー中継の解説者としてこれほどふさわしい存在はいない。
本田は優等生的に情報を整理して届けるタイプの解説者ではない。試合という出来事の中に自ら飛び込み、一流選手の目線で勝負の分岐点を見つけ出し、視聴者と一緒に驚き、怒り、叫ぶ。彼が解説席にいると、中継そのものが1つのドラマになる。
彼がオランダ戦で改めて見せつけたのは、サッカーを見る目だけではなく、どんな場所に置かれても多くの人を魅了してしまう圧倒的なスター性なのだ。





