53歳で降ってわいたような資金500万円。住宅ローン繰り上げ返済か、投資に初挑戦か――FPが教える「2つのNG行動」と、お金を守りながら増やす処方箋

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NGその2:「500万円を一括で投資する」

 二つ目のNG行為は、投資をするにしても「500万円を一度に投資信託や株に突っ込むこと」だ。

「一括投資そのものが悪いわけではありません。ただ、初めて投資をする人にとって、これは心臓に非常によくないことなんです」と山口さん。

 これまで投資の世界は、「バブル崩壊」「リーマンショック」「コロナショック」といった急激な下落に何度も見舞われては立ち直ってきた。2~3割の急落は珍しくない。500万円を一括投資したとき、20%下落したら100万円の含み損が発生する計算になる。

「運用効率だけにとらわれず、リスク許容度などの心理、性格もふまえた配分が必要です。投資に慣れていない人が一括で大金を突っ込んだあげく、急な下落に見舞われて、慌てふためいて売って損を確定してしまう……、それが最悪のパターンです。一方、毎月5万円の積み立てを始めた直後に20%下がっても、減るのは1万円です。心理的なダメージはまったく違いますよね。もう少しピッチを上げて分割投資をしたいなら、NISA口座を使って月30万円ずつ入れていくのはどうでしょうか。500万円なら約17カ月で移行できます。その間に市場の動きにも慣れることでしょう」

円建て預貯金に頼る生活は「国への全賭け」という大博打

 投資初心者はおとなしく銀行の定期預金に眠らせておくのが正解……と考える人も少なからずいるが、山口さんはそのスタンスには懐疑的だ。

「“投資をしないこともリスクになる”ということを知っておいてください。すべての資産を日本円だけで持っているということは、『将来必ず円高になり、デフレに戻り、国が老後の面倒を100%見てくれる』という予測に、全財産を賭けている(ベットしている)のと同じ。これって、ものすごい大博打だと思いませんか? 現在、日本はエネルギーの9割、食料の6割以上を海外からの輸入に頼っている中、円安局面を迎え、インフレ状態となっています。その状況を直視しないと」

 もちろん、外貨に投資したあとに円高になれば、円換算では損をするリスクはある。

「為替や経済の先行きなど、プロの投資家や各国の政策担当者でさえ当てられません。だからこそ、凡人である私たちが取るべき唯一の安全戦略は、どちらに転んでもいいように、円と外貨、両方の可能性に張っておくことなんです」

山口流「チャリンチャリン作戦」とNISAのハイブリッド処方箋

 投資の恐怖を抑えつつ、インフレから資産を守る。山口さんが雄大さんに授けたのは、元本を減らさずに投資にトライするハイブリッドプランだ。

「まずは500万円のうち、ご自身の『ドキドキ許容度(リスク許容度)』に合わせて、絶対に減らしたくない金額を決めます。その金額は、国が破綻しない限り元本が保証される『個人向け国債(10年変動)』などに入れておきます。その上で、残りの資金を『外貨建ての債券(アメリカ国債など)』に回してみるのはどうでしょう」

 例えば、個人向け国債(10年変動)の利回りは、2026年6月現在、1.74%。一方、米国債の償還まで10年、20年ものの利回りは年4%程度だ。

「仮に100万円を個人向け国債に、残りの400万円を米国債で年利4%で運用したとします。為替の変動はあるものの税金を引いた後でも、毎年12万円ほどの利息がチャリンチャリンと口座に入ってきます。この入ってきた『ご褒美』の年間12万円で、夫婦で旅行に行くのもいいし、それを新NISAに回して老後の備えにするのもいい。新NISAで月1万円ずつ『オルカン(全世界株式)』などの投資信託でコツコツ積み立てていけば、元本の500万円は減らさず、値下がりの恐怖も最小限に抑えて、安全に投資デビューが果たせますよ」

※プライバシー保護のため、記事中の事例は、具体的な状況の一部を変更しています。

今回のアドバイザー/山口京子(やまぐち・きょうこ)さん
1966年名古屋生まれ。金城学院大学卒業。大学在学中から、テレビ・ラジオに出演。2000年にファイナンシャルプランナーの資格を取得。のべ2,500組以上の家計相談を受け、お金と人生の悩みを解決に向けてサポートしてきた。また、家計管理、貯蓄・資産運用のプロとして、金融庁、証券業協会、東京証券取引所の講演会にも出演。2024年には、「KOKUSAIには愛があるプロジェクト in あいち」のメインキャラクターに。『お金も人生も薔薇色!老後計画』(主婦と生活社)など著書多数。

取材・文/鷺島鈴香

デイリー新潮編集部

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