巨人・阿部体制の終焉 不祥事辞任で始まる“脱・目先の補強”と戦力再発掘

スポーツ 野球

  • ブックマーク

再建の転機になるか

 阿部監督の退任は、来シーズン以降のチーム編成にも影響を及ぼしそうだ。前出の球団関係者はこう続ける。

「阿部監督は今年が契約最終年で、かなり目先の結果にこだわったチーム編成になっていました。全盛期を過ぎたベテランの則本昂大と松本剛を獲得したのも、その表れです。

 昨年のオフに限らず、ドラフトでもここ数年は阿部監督の意向が強く反映され、即戦力を重視した指名が続いています。今年は1位の竹丸和幸と2位の田和廉が戦力になっていますが、逆に若手の有望株は昨年外れ1位で指名した石塚裕惺くらいしかいません。

 次の監督が誰になるかは分かりませんが、少なくとも今年のドラフトやシーズン中の補強は、フロント主導で将来を見越して進めることができると思います」

 阿部監督が就任して以降のドラフトを振り返ると、高校生は石塚を含めて支配下では3人しか獲得しておらず、石田充冴(2024年4位)はわずか1年で育成契約となっている。現在の二軍を見ても、将来の中心選手として期待できそうな若手は決して多くない。阿部政権時代に即戦力を重視し過ぎた弊害が出ていることは間違いないだろう。

 その意味では、阿部監督の退任によって、チームの将来にいち早く目を向けられるようになった点はプラスと言えそうだ。

 突然の体制変更は、巨人にとって大きな痛手である。ただ、見方を変えれば、固定化されていた選手起用や短期的な編成方針を見直す機会にもなる。不祥事による異例の監督交代を、単なる混乱で終わらせるのか、再建への転機に変えられるのか。巨人の“本当の再出発”は、ここから始まる。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。