巨人「阿部監督」辞任で浮上した「悩みを相談するなら親友よりも生成AI」という10代のリアル…専門家が使いこなす方法を伝授「AIに相談するのは“最初から”ではなく…」

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重要な「個別性」の問題

 だがAIの回答を全面的に信じていいのだろうか。今回の騒動でも、その点は懸念材料として今も議論の対象になっている。

 先に触れた通り、阿部氏の長女が「父親に暴力を振るわれた」とChatGPTに相談した際、このAIは長女の父親が巨人の監督という極めつきの有名人であり、児童相談所への連絡は騒ぎが大きくなる危険性を全く予想できなかった。

「ところが人生相談の場合は少し様相が異なります。私も『AIに人生相談をするユーザーが増えている』との話を聞き、実際に試してみました。人間関係の悩みを入力すると、意外に気の利いた回答を表示するのです。つまり『配偶者への不満』とか『パワハラ上司の対処法』など類例の多い相談内容なら、ネット上にも助言を筆頭に大量のデータが蓄積されています。AIは情報収集と分析なら得意ですから、普通の人生相談にはそれなりの回答が可能なのです。一方、『巨人の監督である父親が長女に暴力を振るった。どう対処するか』という事案は個別性が極めて強く、いくらネットを検索しても解決法が見つかりません。そのためAIは『児相に相談しなさい』という原理原則に基づいた回答しかできず、結果として騒動を大きくしてしまったのです」(同・井上氏)

AIが奪う「考える力」

 AIの黎明期から「人工知能とは楽しい会話が可能だ」と過度に熱中してしまったユーザーは存在したという。AIに結婚を申し込んだり、引きこもって会話を続けて死亡したりしたケースが記録に残っている。

 人工知能を正しく使いこなすためには「最初ではなく最後に使うことを心がけるべき」と井上氏は言う。

「最初から使うから問題が生じるのです。難しくて分からない宿題の解き方をAIに聞くのは活用法に含まれるかもしれません。しかし最初から解かせたら単なるズルです。相談も同じでしょう。悩みが心に浮かんだとします。近くのスマホを手に取ると不安を投稿し、AIの回答を読むことを繰り返していると、人間にとって最も大切な思考やコミュニケーションを放棄していることになります。悩んだら自分で調べ、考えてみる。それでもダメなら両親や友達、配偶者など身近な人々に相談してみる。それでも芳しい結果が得られなかったら初めてAIに相談してみる。考える力は生きる力と同義です。AIに考える力を奪われないように日々を生きる必要があると言えます」(同・井上氏)

「生きづらい社会」との悲鳴

 今回、阿部氏の辞任を受け、SNSでは「生きづらい社会になった」という悲鳴が殺到した。その背景には何が存在するのか、

 第1回【巨人「阿部監督」の辞任劇にネット上で「生きづらい時代になった…」の声が噴出する理由 ChatGPTの提案した「合理的な解決策」への違和感も】では、原理原則の対処法だけが優先され、“人情”が二の次となってしまった日本社会のリアルについて詳細に報じている──。

註1:About 12% of US teens turn to AI for emotional support or advice(TechCrunch:2026年2月25日)

註2:チャットAIに“感情を共有”できる人は64.9%、「親友」「母」を上回る 電通調査(ITmediaAI+:2025年7月3日)

デイリー新潮編集部

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