「ナフサ不足」で日本を待ち受ける“6月危機” 高市内閣の支持率は下落 「今後、企業倒産はさらに増えていく」
温泉旅館で鍋が出せない
「政府は『ナフサは来年まで確保している』と言うけれど、現場感覚としては先行きが不透明で不安です。今は塗料とかクロスを貼るための糊、溶剤系の材料が少しずつ品薄になってきています。接着剤にとどまらず、樹脂パーツや浴槽のコーティング、人造大理石の天板などもナフサから作られています。そのため、システムキッチンやシステムバスといった住宅設備も品薄になっているそうです。問屋さん自体は在庫を持っているんですが、大手の量販店などに現金払い優先で流し始めたりもしていて、まとまったお金を持っていない中小企業にとっては厳しい状況です。私たちとしては“モノ”さえ入ってくれば仕事はできるんですが、その“モノ”が本当に今後も安定して回ってくるのかが問題です。実際、6月以降は塗料も糊も値上がりするという話を何軒かから聞いています」
東北地方の温泉旅館にも影響がある。
「うちの旅館は源泉掛け流しなので、お湯を沸かすためのボイラーが不要ですから重油で困るということはありません。しかし、今、逼迫しているのは鍋に使う固形燃料です」
ナフサのみならず、サウジアラビアからはメタノールの調達も止まったのだ。
「注文しても入ってこないというよりも、業者さんからは『出せない』と言われています。鍋を出さなければいいのでしょうが、固形燃料がなくなるなんて今までありませんでした。高市政権は『在庫がある』と言っていますが、業者は『ない』と言う。誰かが持っているのか持っていないのかはわかりません。誰かが嘘をついているのでしょうが、現場の我々としては、あるものでなんとかするしかないという状況です」
すでに会社を畳んだという関東地方の元塗装業者は、業界の先行きを心配する。
6月以降、さらに倒産が増える
「同業者に聞くと、6月にまた値段が上がるって話も来ているらしい。塗料メーカーはきっと原材料を抱え込んでいると思うけど、製品を回すのは大量に仕入れて来た実績のある大手企業。中小は価格交渉力も弱いし、言いなりになるしかない。結局、一番影響を受けるのは地域でやってる小さい会社なんですよ。うちは辞めて良かったのかもしれないね」
前出のリフォーム業者も6月からの値上げを嘆いていた。今後、企業の倒産や解散がさらに増えるというのは、東京商工リサーチでアナリストを務める本間浩介氏だ。
「倒産が増えたのは2023年頃からです。それまではコロナ禍の支援策が効いて、倒産を抑え込んでいました。しかし、その支援効果が希薄化する時期にロシアのウクライナ侵攻が重なり、物価高、円安、人手不足が深刻化しました。今度は緊迫する中東情勢が物価高に拍車をかけ、今年の倒産は12年ぶりの高水準が見込まれています。中東情勢が長引き、原油の価格高騰や物流混乱が進むと、倒産はさらに増えることが危惧されます。政府のナフサを『確保している』という発言より、企業にとっては品薄解消と『いくらで仕入れられるか』のほうがはるかに重要です」
それでも高市首相が「足りている」と言い続けているのはなぜか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が指摘する。
「日本の政府、官僚は『危機を煽りたくない』と言います。しかし、世論調査でも節約を呼びかけて良いという人が多いわけですし、危機管理上、今できることをやるというのは当然のことです。国民も節約を呼びかければ意識するわけです。カルビーが白黒のパッケージを作ったのも、危機に備え出費を抑えるという判断ですが、それは政府が言うべきことだと思います。しかし、総理として、それを言ったら自分の非を認めることになりますから」
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