「舘プロに入れてください」と直談判――気鋭の高校生俳優「黒川想矢」が語る 舘ひろしとの出会いが変えた役者人生

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『怪物』『国宝』 名演の裏側

 2022年に舘プロに加入した黒川は、カンヌ国際映画祭で複数の賞を獲得した是枝裕和監督の『怪物』(2023年)、社会現象にもなった『国宝』(2025年)で主要な役を立て続けに演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数多くの賞に輝く。

 俳優として大きなターニングポイントとなった『怪物』では、是枝監督の演出に導かれた。

「それまでは監督が思っていることが表現できればそれが正解だと思っていました。けど、是枝監督のもとでそうじゃない俳優の役割があるんだと気づかされました」

 是枝監督は答えを直接教えるのではなく、「感情を『容器』にたとえてみたらどうかな」「表情だけじゃなくて指先も含めた体全体で演技してみたらどうだろう」とヒントを示した。

「小学生の主人公・湊が校長先生と話すシーンがあって、そこでコップに入った水を傾ける演技があります。これは監督のヒントをかみ砕いて、湊の心を水に例えてアドリブでやってみた結果でしたが、すごく上手くいきました」

 是枝監督の指導もあって、黒川は『怪物』を機に役者という仕事の面白さに気が付いた。しかし、『国宝』では稽古の出だしから躓く。

「『国宝』の役作りはまず歌舞伎の稽古からでした。事前に振りの動画が送られてきていたので、最初の稽古から先生がついて振りを教えてくれるのかなと思っていたら、いきなり音楽が鳴りだして“踊ってください”と。振りを見ただけで覚えていなかったので、踊れるわけもなくまごまごしていたら、先生が“この子がかわいそうだからわたしは帰る”と言われて、もう冷や汗が止まりませんでした」

「積恋雪関扉」「鶴亀」「藤娘」……。稽古を始めたはいいものの、『国宝』で少年期の主人公・喜久雄が踊った演目は、元々ダンスが大の苦手な黒川には難しいものだった。だが、そこから新人賞を多数受賞する演技につながる。何があったのか。

「リズム感がないせいか、抑揚も難しくてセリフも何を言っているのか分からない。さすがに“もうできないな”とも思いました。でもある時、歌舞伎の踊りと役者のセリフは感情の出口という意味で一緒だって気づいた。ルートが違うだけで、気持ちを持っていく出口は一緒なのかなと思ったんです。それから踊りがすごく面白くなりました。最初の失敗で自分の役者としての覚悟が足りていなかったなと後悔したのですが、『国宝』ではその自覚を付けられました」

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 6月19日公開の新作映画『免許返納!?』で黒川は舘と再び共演を果たす。「新潮QUE」では、【『怪物』『国宝』の名演で注目「黒川想矢」の役者人生を変えた舘ひろしからの薫陶】として、黒川と舘のエピソードや『免許返納!?』の撮影秘話から、成長を続ける役者・黒川想矢の横顔に迫る。

黒川想矢(くろかわ・そうや)
2009年生まれ。埼玉県出身。舘プロ所属。2023年映画『怪物』にて主人公・麦野湊役に抜擢され、第47回日本アカデミー賞新人俳優賞や第66回ブルーリボン賞新人賞を受賞。2025年映画『国宝』では少年時代の主人公・喜久雄役を演じ、第17回TAMA映画賞最優秀新進男優賞などを受賞。26年11月に主演映画『3ミリの恋』が公開予定。

デイリー新潮編集部

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