AIが東大受験で首席合格も…“日本一生徒数の多い社会科講師”が「むしろ大学受験の意義は高まっていく」と断言する理由

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教養を高める重要な機会

――大学入試のあり方が、今後変わるのではないかという意見があります。

伊藤:あり方というか、世間の認識も“たかが大学受験”となるかもしれませんね。でも、今後も大学という存在があり続ける以上は、大学受験は消えることはないし、必須であり続けると思います。先ほどもお話ししたように、AIの時代だからこそ基礎教養が重視されるようになり、大学受験の意義が強調されると思います。

 日本史でいえば、織田信長や卑弥呼はアニメキャラクターのような存在だと思う。歴史好きの人と会ったときに、最低限どんな人物であるかを知っているだけで、会話が弾むでしょう。そして、そういった会話を通じて得られる喜びや快楽は、人間にしか味わえないものだと思うのです。

――世界を広げるためには教養があったほうがいい。短期間で一気に様々な教養を得ることができる受験は、その最適な機会といえますね。

伊藤:そもそも、好きではないものなんて、受験じゃないとやろうとしないでしょ(笑)。僕は法政大学を卒業し、社会人になってから早稲田大学を受験して卒業していますが、現在も理系の大学受験に挑んでいるのはそのためです。

 だいたい、数学の参考書なんて、ほとんどの人は受験がなければ開こうとしないでしょう。受験は未知の世界を知る機会になるし、嫌いだと思っていたものが学んでみたら実は興味深かった、ということもあるはずです。

5教科に絞り込まれたのには意味がある

――しかし、5教科のなかには今の時代に合っていない科目も多いのでは、という意見もあります。

伊藤:人間の営みをナメてはいけないと思います。長い人間の歴史があって、最終的に国語、数学、英語、理科、社会の5教科に絞り込まれたのです。削りに削って5教科を残し、それがアップデートされ、新たに6教科目として情報が追加されることになったといえます。

 受験科目にはないけれど、学校で学ぶ体育や美術も、削りに削って残ったもの。こんなものを勉強して何になるんだと、疑問に思うことも多いかもしれませんが、必要なことをやっているんだと思って前向きに取り組むべきでしょう。受験は決して無駄ではないということは、強調しておきたいですね。

――社会人になってから「あのとき、勉強しておいてよかった」と感じることも、意外とありますよね。

伊藤:英語だって、今時、別にできなくてもいいと思うでしょ。だって、手元にあるスマホに日本語を入れたら、翻訳できてしまうわけですから。でも、そんな時代だからこそ、ちょっとでも英語を話せたら魅力的だと思いませんか。

 先日、僕は外国人に道を聞かれました。困ったことに英語は決して得意ではないので、スマホの翻訳機能に頼ったんだけれど、「Welcome to JAPAN!」と、自分の口からちょっとした言葉を伝えることができました。相手は凄く喜んでくれて、ああ、英語を少しでも勉強していて良かったと思いましたよ。

――素敵なエピソードですね。

伊藤:僕はいつも思うのですが、そういう小さな喜びの積み重ねが、人生に潤いを与えてくれるのではないでしょうか。受験についても同様です。常に前向きに考えるだけで人生が豊かになりますし、AIにはむしろ使いこなすつもりで向き合うべき。過度に恐れる必要はないと考えています。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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