オスナの緊急登板で再注目 過去にもいた“投げた野手”たちの珍事件簿

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ワンサイドゲームのお楽しみ

 クラウンの後身・西武も、東尾修監督時代の1995年5月9日のオリックス戦で、ファンサービスを兼ねて内野手のデストラーデを登板させている。

 当時のデストラーデは、4月下旬に夫人が離婚を前提に2人の子供を連れて帰国したことから、家族問題解決のために退団帰国を決意していた。「引退する前に一度でいいから、公式戦のマウンドに上がってみたい」との夢を果たすため、0対9のワンサイドになると、「僕に投げさせてほしい」と首脳陣に直訴してマウンドに上がった。

 0対9の8回2死、「石井貴に代わりまして、ピッチャー・デストラーデ」の場内アナウンスが流れると、スタンドのファンはもとより、ネット裏の記者席からも思わず「ウソッ!」と驚きの声が上がった。

 「2死無走者で1人だったら大丈夫」(東尾監督)との目算は外れ、先頭の高田誠に右中間三塁打を浴びる。さらにニール、藤井康雄に連続四球で、たちまち満塁のピンチに。結局、1死も取れずに降板となった。

 近年では、巨人の内野手・増田大輝が2020年8月6日の阪神戦で、11点ビハインドの8回にリリーフ。原辰徳監督は2023年9月2日のDeNA戦で、8点ビハインドの8回に内野手の北村拓己をリリーフに送るなど、結果の見えた試合の終盤に野手を登板させることで、中継ぎ投手を休ませる奇策を用いた。

 北村はヤクルト移籍後の2025年9月12日のDeNA戦でも、8点ビハインドの9回に2度目の登板を果たしている。

 野手の緊急登板は、ワンサイドゲームに退屈したファンにとっては格好のお楽しみだ。ただ、本職の投手ではないだけに、くれぐれも死球にはご注意を。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘! 激突! 東都大学野球』(ビジネス社)

デイリー新潮編集部

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