「狭くすれば打てる」は本当か 球場改造が生んだ“明暗の分岐点”
“恐竜打線”に深刻な影響
球場が広くなったことが裏目に出たのが、1997年の中日だ。
同年、ナゴヤドーム(現・バンテリンドーム)がオープンし、前年までの本拠地・ナゴヤ球場の両翼91.4メートルから100メートルに広がったことは、前年リーグトップの179本塁打を記録した“恐竜打線”に深刻な影響を与えた。
前年の本塁打王・山崎武司が39本から19本に半減したのをはじめ、チーム本塁打数は115本に大幅ダウン。4年連続首位打者を狙ったパウエルは打撃不振に陥り、守備面でも持病のヒザ痛の影響で広い球場に適応できず、8月末に解雇されてしまう。
終わってみれば前年の2位から最下位転落という惨憺たる結果となり、星野仙一監督はオフに大豊泰昭らを放出。トレードで関川浩一、久慈照嘉を獲得するなど、守り型チームへの一大転換を図り、2年後の99年に11年ぶりのリーグ優勝を実現した。
今季の中日、楽天と同様、本塁打が出やすいように球場を改造し、成功を収めたのが2015年のソフトバンクだ。
当時のヤフオクドーム(現・ペイペイドーム)は「日本で一番ホームランの出にくい球場」と言われたが、「ホームランが出ないと面白くない」という孫正義オーナーの鶴の一声で、外野フェンスを最大5メートル前に出し、フェンスの高さも1.6メートル下げたホームランテラスが設置された。
この結果、同球場での本塁打数は交流戦終了時点で前年1年分を超える39本に増加。前年リーグ5位の95本塁打に終わった打線はリーグトップの145本塁打を記録し、2年連続日本一の座に就いた。
そして、楽天の3番打者・銀次も思わぬ恩恵にあずかった。
9月30日のソフトバンク戦の7回、開幕から137試合目にして右翼のホームランテラスにシーズン第1号となる逆転2ランを放った。もしテラスがなければフェンス直撃の長打で同点止まりだった可能性が高く、まさに“テラス様様”。しかも同年はこの1本がモノを言って本塁打ゼロを免れたとあって、「1本出て良かったです」の言葉にも実感がこもっていた。
銀次の例を挙げるまでもなく、球場が狭くなれば当然、対戦相手も本塁打が増える。4月11日の中日対阪神では、阪神の森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔のクリーンアップトリオが揃ってホームランウイングに叩き込み、ネット上で「もう阪神のためのホームランウイングなのよ」という声も出た。一方、楽天も4月1日のソフトバンク戦で、ホームランゾーンに柳田悠岐、近藤健介の2発を被弾し、“逆利用”される皮肉な結果となっている。
とはいえ、まだシーズンは始まったばかりだ。両チームともに本拠地の利を生かした戦い方を確立し、浮上のきっかけを掴みたいところである。



