大関復帰「霧島」は「これからが“見せ場”だ」…師匠として見守った苦悶の2年半【音羽山親方の春場所総括】
伝達式での口上に込めた決意
――(笑)。3月25日の大関昇進伝達式で霧島関は、「謹んでお受けいたします。さらなる高みを目指して一生懸命努力します」という口上を披露しました。この口上は、親方が中心となって考えたものだと聞きました。
音羽山:はい、そうです。難しい四字熟語を使うのではなく、わかりやすい言葉使いにしようと決めていました。本人が目標だった「大関復帰」は叶いましたが、これで終わったわけじゃありません。その次(横綱昇進)の夢の途中だということに加えて、さらに上を目指すんだ! という決意を込めた言葉なんです。
「勝ちたい」「勝ちたい」という気持ちだけじゃダメ。常に挑戦者の立場で、勝負に臨むことが大切なので、霧島には「勝負に行け!」と声をかけています。まあ、これからが勝負というか、これからが霧島の「見せ場」だと思っています。
安青錦を待ち受ける試練は多い
――さて、春場所でもっとも注目されたのが、新大関・安青錦関の連続優勝、そして綱取りでした。ところが、これまでの粘り強い相撲が息を潜めてしまい、千秋楽を迎えるにあたって7勝7敗という成績でした。千秋楽は、これまで本場所で一度も負けたことがなかった横綱・豊昇龍関との対戦でしたが――。
音羽山:やはり、豊昇龍だって、だてに横綱を張っていませんよ。入門2年ちょっとの若手にやられっぱなしでじゃいられません。千秋楽の一番は、豊昇龍の意地での勝利だったのでしょう。
そして、前回私は、「安青錦の対戦相手たちが相撲を変えなければならない」と話しました。そして今場所の各力士たちは、安青錦の低い体勢を崩して、イヤらしい攻め方をしてきました。
じつは安青錦は、他の部屋の力士とあまり稽古をしないんです。自分の弱点を見せないように、巡業などでも番数は多いとは言えません。小柄な部類だし、スタミナの問題もあるかもしれませんが、思いっきりいろんな力士と稽古をすることも大切です。私は、3月29日からの春巡業に、審判委員として帯同することになっていますから、安青錦がどんな稽古をするか、じっくり観察したいと思っています。
本人もいろいろな行事に振り回されて多忙でしょうし、その中で他の力士からのマークも厳しい。横綱に上がる人は、皆そんな中、上に上がってきたんです。これからも試練は2つ、3つ、いやそれ以上あると思います。自力で乗り越えてほしいですね!
十両復帰の炎鵬に声援
――そして、幕下では、元幕内力士の人気者・炎鵬さんの十両復帰が決まりました。先場所は7戦全勝での復帰のチャンスを逃して、今場所も7番相撲で敗れて、昇進の行方にヤキモキしていたファンも多かったと思います。
音羽山:炎鵬が土俵に上がると、地位がどこであれ、声援がものすごいですからね! 春場所の7番相撲も、まるで優勝決定戦かと思ったくらいでした(笑)。
生死をさまようような脊髄損傷から復帰して、十両昇進も決めた。これは、炎鵬の気迫の賜物ですよね。もちろん、前のように幕内の土俵で活躍してほしいという希望はありますけど、次の人生もあるのだから、無理しないでほしいです。でも、そのがんばりには心から声援を送りたいと思います。





