『国宝』効果で「松竹」本社ビル建設も… 大阪に残る懸念

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『国宝』が大ヒット

 1930年に開場した「東京劇場」が前身で、75年に高層ビルに改築された東京・築地の「東劇ビル」が50年ぶりにリニューアルされる。

 全国紙経済部記者が言う。

「今月6日、松竹の高橋敏弘社長(58)が明らかにしました。築50年の建物は19階建てで、3階に映画館、4階に松竹本社が入居していますが、さすがに老朽化が目立っていました」

 ここ数年、松竹にとって新たな本社ビルの建設は喫緊の課題とされてきた。ところが2020年に始まったコロナ禍の影響で、エンタメ業界は大打撃を受けた。松竹も例外ではなく、厳しい経営が続いたことで計画は棚上げされてきたという。

「ようやくコロナ禍が去り、昨年には吉沢亮(32)が主演を務めた、歌舞伎界が舞台の映画『国宝』が大ヒット。歌舞伎座や新橋演舞場で入場者が増え、今年2月期の連結決算で最終損益は50億円もの黒字に。経営が改善・安定し、建て替えに踏み切れたようです」

“大阪の切り捨て”

 新たな本社ビルはオフィスに加えて、およそ800人を収容する劇場、ホテル、映画館も整備されるという。

「29年に取り壊しが始まり、新ビル完成は35年の予定。建設費用は人件費や資材価格の高騰で1000億円に達するとか」

 昨年2月、同じく映画や演劇の製作・配給を担う東宝は本社がある有楽町や日比谷の再開発に伴い、丸の内の帝国劇場を休館させた。こちらは30年度の新帝劇オープンを予定している。

「松竹の決断を後押ししたのは、わずか100メートルほどの距離にある築地地区の再開発計画でした。18年に豊洲に移転した築地市場の跡地は、東京ドーム4個分に相当するおよそ19ヘクタールという広大さです」

 ここには5万人を収容可能な屋根付き多目的スタジアムをはじめ、高級ホテル、タワーマンション、国際会議場・展示場、複数の飲食施設などの入居が見込まれる。

「費用はおよそ9000億円が投じられますが、最終的には1兆円程度になりそう。今年度後半に工事が始まり、32年度内には大半の施設が完成予定です」

 松竹関係者が解説する。

「松竹の劇場は、定員が歌舞伎座で1964人、新橋演舞場が1428人とどちらも大箱です。800人程度を収容する中劇場の整備は長年の悲願でした」

 一方では、こんな懸念も。

「今年5月、松竹が大阪で唯一所有する道頓堀の大阪松竹座が老朽化を理由に閉館しますが、その後の利用方法は“未定”のまま。地元で存続を求める署名運動が進む中、東京の新ビル建設が報道され、“大阪の切り捨てだ”と不満を持つ関係者は少なくないんです」

 6日以降、松竹の株価は右肩上がりだが、喜んでばかりはいられないようだ。

週刊新潮 2026年3月26日号掲載

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