「特養」で汗だくなハードワーク、「ありがとう」の言葉に救われた元タレント、39歳・介護士の現在地
個性と向き合う
特養で仕事を覚えて、この6年で老健(介護老人保健施設)、有料老人ホーム、訪問介護、デイサービスなど、さまざまな現場を経験させてもらいました。仕事もだんだん慣れてきて、少しずつ心の余裕が出てくると「このおじいちゃんにはこんな話題を振ったら喜んでくれる」とか、利用者さん一人ひとり違う個性とちゃんと向き合えるようになってきました。
担当する利用者さんの性格や好き嫌い、家族構成、人生など、まるでお芝居の台本みたいに、ちょっとした会話から引き出していって、それに合わせた会話や楽しませ方を考えるようになり、さらに通じ合えるようになりました。
私のようなアラフォー世代と令和世代の文化の差や環境の違いがあるように、戦中、戦後世代の方々は、当時の考え方や教育方針が正しいと思って生きてきたので、完全にそれを理解するって難しいんです。
だから、私はいつもそういう方のお話を聞くときは「へえ~。そうなんだ」って受け入れてあげて、みなさんの当たり前を尊重しながら会話をすることを心がけています。すると、本音の部分では世代に関係なく一緒だったりすることだってあるんです。そうやっていろんな方々の人生の最後に関わることができる職業って、ある意味とても貴重だなって思うようになりました。
一方で、今、現場で働いている一人として改善してほしいなという点もあります。まず、直面している課題は、人手不足と待遇面です。ひと昔前より多少良くなってはいますが、まだまだ施設によってその差は大きいです。
例えば、夜間勤務になると、20人、30人の施設内の利用者さんを1人とか2人で見なければいけない時があります。1分前にトイレに連れて行った認知症の利用者さんに「早くトイレに行きたい」と腕をつかまれ、その隣ですぐに転んでしまう利用者さんが突然フラフラと歩き始めたりする。
そんな同時多発的なことは日常茶飯事で、夜勤が毎日続くと職員も疲弊してしまいます。現場の職員の間でも、事故や事件が起こらないように声を掛け合ったりしながら予防はしていますが、それも限界があるんです。
イメージ変えたい
最近は外国人労働者の方が介護の現場で働き始めているのですが、みなさん本当に一生懸命やっているので、大変助かっています。ただ、言葉や文化の違いから、現場でより詳しい説明が必要なこともあります。私たちは通常の業務に加えて、教える時間を作っているので、さらに仕事がハードになっている側面もあるんです。
もちろん、私たち職員の待遇面も改善してほしいのですが、その財源はどこから持ってくるのか。保険料が上がってしまうと、施設での生活が必要な人まで利用できなくなると、心配を抱えている利用者さんもいます。介護をとりまく全てのことを考えていかないと解決しない問題だなって分かってきました。
また、介護の仕事ってブラックとかネガティブに見られがちなので、そのイメージを少しでも変えたいですね。
そんな思いもあって、2024年に西田と一緒に介護をちゃんと知ってもらう活動を始めることにしたんです。YouTubeやSNSでの発信をしたり、介護関連の企業さんと一緒にイベントを開催したりして、若い世代に介護を知ってもらう活動をしています。
介護の仕事を始めてみて、最初はハードだなって感じましたけど、辞めたいと思ったことはこの6年で一度もありません。私の中ではやっと介護の入口に立てたくらいの感覚です。もっと知識を増やして、活動を継続していきたいですね。
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第1回【「仕事・育児・96歳義祖母の介護」トリプルケアのリアル 元タレント・岩佐真悠子、介護福祉士に合格 39歳の挑戦】では、岩佐さんが日々の生活、介護福祉士に合格するまでを語っている。
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