King Gnuで議論沸騰! 「好きなアーティストのライブを見に行ったら隣の客の歌ばかり聴かされた」問題をどう考えるべきか

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口パクのすすめ

 合唱全面肯定派に責められるリスクを感じながらも打ち明けると、筆者は基本的に近くの客に歌ってほしくない派だ。好きなアーティストのライブでは、そのアーティストの声をできるだけ体験したい(もちろん合唱パートは別だ)。

 隣や後ろで、大声で歌われてしまうことはある。たとえ上手だったとしても辛い。音程を大きく外していたらもっと辛い。そういうときは「今日はついていない日」と受け入れて、あきらめることに決めている。注意してやめてくれればいいが、もめたらさらに不愉快な経験をすることは目に見えている。

 始末の悪いことに、歌ってほしくない派の筆者自身、歌いたいときがある。好きで好きでしかたがない曲をそのアーティストが歌ってくれたときだ。他人には歌うなと思っているくせに自分は歌いたい。しかも、へたくそ。わがままこの上ない。

 そういうときにはどうするか? “サイレント・シンギング”で歌っている。つまり、口を動かし、でも、声は発しない。いわゆる口パクだ。

 ライブで口は動かす。でも、発声はしない。この手法はバラードでも大人モードの静かなジャズクラブでもいける。誰にも迷惑はかけない。

 難しいのは、ロック系でも必ずしも合唱を大歓迎しているアーティストばかりではないということだ。矢沢永吉は少し前からかなり厳しい方針を公式サイトに掲載している。

「コンサートの1曲目から本編曲の終わりまで、『永ちゃんコール』『一緒に歌う』『ヤジ等』などの行為については引き続き禁止とさせていただき、皆様のご協力をお願いしたいと存じます。コンサート開演前、アンコール以降については他のお客様のご迷惑にならない範囲内での『声出し』をOKとさせていただきます」(2025年ツアーの注意事項より)

 要は本編前とアンコール以降はそれなりにコールや合唱も許すけれども、それ以外は音楽を聴き、通常の歓声や拍手を送るだけにしてくれということだろう。この方針は、ファンには概ね歓迎されているようだ。

 録音や撮影の可否と同様、こうした注意を周知する試みも増えていくのかもしれない。

神舘和典(こうだて・かずのり)
1962(昭和37)年東京都生まれ。雑誌および書籍編集者を経てライター。政治・経済からスポーツ、文学まで幅広いジャンルを取材し、経営者やアーティストを中心に数多くのインタビューを手がける。中でも音楽に強く、著書に『不道徳ロック講座』など。

デイリー新潮編集部

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