「知らないアイドルばかり」の紅白をアラフォー以上はどう楽しめばいい? 「見る」のではなく、「読み解いて遊ぶ」方法

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TikTokで「時をかけるバズ」! 40代の青春ソング・20代のバズ曲の二重視点

 実は今の紅白は、アラフォー世代にとって「最も面白い時期」でもある。それは、紅白を支える二つの軸=バズ文化と平成・ゼロ年代の再ブーム、の両方に接続できるのが、まさにこの世代だからだ。

 ご存じの方も多いと思うが、TikTokでは20年前の楽曲が「現役のヒット」のように扱われている。その筆頭がORANGE RANGEで、「ロコローション」「イケナイ太陽」などが若者にバズり、踊ってみた・口パク動画の定番になっている。

 さらに、「平成ポップの再評価」も目立つ。スピッツの「楓」は映画化もされ、「チェリー」もTikTokの定番に。数年前には大塚愛さんの「さくらんぼ」を使った「さくらんぼチャレンジ」が人気韓国アイドルも巻き込み大ヒットしていた。平成時代の男子高校生が踊り人気動画となった「熱帯夜」の生みの親・RIP SLYMEも今年5人で再始動と期待が懸かる。

 こうした楽曲が紅白の「特別枠」に入ればどうなるか。10代にとっては「TikTokで踊った曲」、アラフォーにとっては「当時の青春がよみがえる曲」。同じ曲で違う世代が全く異なる理由で盛り上がれる、奇跡の現象が起きる。

 昨年のB‘zの盛り上がりもそうだが、視聴者の「懐かしさ」と「新鮮さ」が同居する独特の空気が生まれる。おそらく紅白の特別枠、こうしたリバイバル枠が1個はあるのではないだろうか。

紅白は「どう見るか」で価値が変わる時代へ テレビもCDもスマホもすべてを経験したアラフォー以上だけの楽しみ方

 紅白の権威は確かに変化した。それは出演者側にとっても同じである。かつては「紅白出場=一流の証し」であり、出場すればセールスが爆発的に伸びるという神話があったが、現代では紅白に一度出るよりも、TikTokで一つの楽曲がバイラルを起こすことの方が、長期的なストリーミング再生数とライブ動員に直結する。つまり、歌手のキャリア形成における「紅白」の価値が相対的に低下しているのだ。

 だが、変化の途中にある紅白だからこそ、アラフォー以降にとっては「読み解く楽しさ」が格段に増したともいえるのではないだろうか。

 バズからスターが生まれる速度、平成・ゼロ年代の再評価、日本アイドル回帰の裏にあるNHKの焦燥感。アーティストたちのセルフブランディングとキャリア形成。そして特別枠の「後出しサプライズ」の予想。これらを複合的に読み取れるのは、実はテレビもCDもスマホでのストリーミングもすべてを経験したアラフォー以上だけなのではないだろうか。当事者世代としてはそう信じたい。

「目玉」となる大物アーティストやコラボ企画の追加発表は、これから続くだろう。良くも悪くもアイドルが中心となった紅白で、「昭和100年」の節目となった今年、昭和アイドルの筆頭として松田聖子さんの名前を挙げる人もいる。主題歌を手がけたアニメ映画がヒット中の米津玄師さんと宇多田ヒカルさんの名前を挙げる人もいる。個人的にはNHKのひいき枠の椎名林檎さんが出ないのは意外だが、コラボ経験のあるアイナ・ジ・エンドさんやPerfumeののっちさんが出るのでサポート的な立ち位置で出るのでは、と予想している。

「見る」のではなく、「読み解いて遊ぶ」番組へと進化しつつある紅白。さて、「偉大なるマンネリ」はどこへ向かうのか。SNS主導の音楽文化と伝統番組のせめぎ合いを俯瞰(ふかん)できる、実は今がいちばん刺激的な紅白なのかもしれない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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