なぜ男性タレントたちは脱ぎたがる? Aぇ! group草間リチャード事件に見る「衝動」の正体

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ストレスの暴発とも限らない?

 そしてもう一つの要素は、「男同士の絆」の中での競い合いではないだろうか。

 ガーシーこと東谷義和氏が、服を脱いでカラオケに興じる小栗旬さんの写真を投下し物議を醸したこともある。周囲には数人の姿があり、プライベートの飲み会でハメを外した一コマのようだった。小栗さんサイドはこの写真について公式なコメントは出さず黙殺したが、当時は大騒ぎになったものだ。

 小栗さんのケースでは、女性を辱めようというよりも、同席している男性たちに対する「場を盛り上げたい」「仲間の中心でありたい」という意識が透けて見える。わたしの周りにもいたが、飲み会や結婚式で脱ぎ出す男性は年齢問わず一定数いた。服を脱ぐことで男たちの中での恥を超えた「勇気」を示す。それは小栗さんのような、誰かの機嫌を取る必要もないような、地位と知名度の高い男性ほど「勇気」とみなされる。草なぎさんが事件を起こした時も、番組MCでコンビを組んでいたユースケ・サンタマリアさんが「剛がやらかしましてね」と、どこか愉快そうに言っていたのを思い出す。

 サービス精神として、あるいは勇気の証しとして……。生き馬の目を抜く芸能界はまだまだ男社会である。何かと脱ぐ男性タレントたちが多いのも、うなずけるのではないだろうか。

脱ぐ芸能人は「見せたい」より「見られたくない」? 裏にある孤独とプレッシャー

 男性タレントの露出事件を「またか」と片付けるのは簡単だ。だが、その背景には、過剰な期待、ファンとの距離感、SNS時代の監視、芸能界という根強い男社会での孤独があるのではないか。彼らが脱ぎたがるのは見られ過ぎた人生の反動であり、その欲求は「誰にも見られたくない」という心の叫びなのかもしれない。

 草間さんの「露出」も、笑いでも反抗でもなく、「自分を取り戻したい」という無意識のSOSだったとしたら同情する。芸能人という職業は、華やかさの裏で「人間らしさを奪われる仕事」だ。一般的に芸能人は目立ちたがり屋だとはいうものの、四六時中カメラにさらされる生活の重圧というのは一般人には計り知れないものがある。「誰でもない自分」に戻り、自分が「芸能人ではない、ただの人間」である感覚を取り戻したかったという理由が背景にあったのではないか。

 先述のように、今回の一件は事件というよりはアクシデントだったのではという見方も出ているが、どちらにせよ、人前で脱げばそれはニュースになり、「不祥事を起こした芸能人」として注目を集めてしまう。自由になろうとした瞬間に、また束縛される。その矛盾が、現代の芸能人が抱える深い問題を物語っている。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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