阪神、リーグ優勝へ独走中も…球団関係者が指摘する“不安要素” 「何か歯車が狂いだした時に…」

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 間もなくオールスターブレイクとなるプロ野球。パ・リーグでは激しい優勝争いが続いている一方で、セ・リーグでは阪神が完全に独走状態に入っている。セ・パ交流戦では7連敗を喫して8勝10敗と負け越したものの、リーグ戦再開後は大型連勝を記録するなど、2位以下に圧倒的な大差をつけている。【西尾典文/野球ライター】

気になる点

 阪神の最大の強みは強力な投手陣だ。先発は、実績豊富な村上頌樹や才木浩人、大竹耕太郎に加えて、新外国人のデュプランティエとドラフト1位ルーキーの伊原陵人がローテーションに定着した。

 彼らが揃って既に5勝以上を挙げて、貯金を作っている。ここへ来て開幕から出遅れていた伊藤将司が復帰後に連勝したほか、昨年11月に左手首を手術した高橋遥人も一軍に合流する。

 リリーフ陣は、抑えの岩崎優にかつてほどの安定感はないものの、順調にセーブ数を重ねている。

 岩崎に繋ぐ中継ぎは、及川雅貴や石井大智、湯浅京己、桐敷拓馬が、既に二桁ホールドをマークしており、新外国人のネルソンも存在感を示している。チーム防御率は12球団トップで、投手陣は先発、リリーフともに他球団を凌駕している。

 一方の打線をみると、佐藤輝明と森下翔太がチームを牽引している。彼らは、本塁打、打点の二部門でトップ争いを展開している。阪神の生え抜き日本人選手の「30本塁打達成」となれば、1985年の掛布雅之と岡田彰布以来40年ぶりだ。今季、佐藤と森下が揃って、阪神を日本一に導いたレジェンドに並ぶ可能性も十分にある。

 加えて、リードオフマンの近本光司と中野拓夢が揃って3割近い打率をマークし、二桁以上の盗塁を記録するなど、チャンスメーカーの役割を十分に果たしている。

 チーム打率、本塁打数は、チーム防御率のように他球団と比べて突出しているわけではない。それでも、得点数は2位以下を大きく引き離している。これは、上位打線がしっかり機能している証拠だ。

 改めてまとめてみると、投手、野手ともにリーグ優勝に向けて盤石のように見えるが、果たして“不安要素”はないのだろうか。阪神の球団関係者に聞くと、「いくつか気になる点がある」という答えが返ってきた。

「投手はやはり抑えの岩崎が少し不安ですね。ここまでは何とかそれなりに抑えていますが、以前ほど打者を圧倒することができていません。9回に石井を起用した試合があったのも、その表れだと思います。野手では佐藤、森下が揃って好調ですが、ここから同じタイミングで調子を落とす可能性もあり、そうなると一気に得点力は下がると思います。特に、佐藤は不振になると長いタイプだけに、ここまでの好調だったので、その反動が怖いです」

采配が大きなポイント

 佐藤は、ルーキーイヤーの2021年には、開幕からホームランを量産しながらも、夏場にスランプに陥り59打席連続ノーヒットも記録している。昨年は開幕から極度の不振で、4月終了時点で打率は2割を切り、5月から6月にかけては二軍調整も経験した。

 今年はここまで安定して打ち続けているが、前出の球団関係者が指摘する通り、ここから一気にスランプに陥ることは否定できない。

 昨年はこんなこともあった。森下が5月の本塁打がゼロ、6月は1本で、打率も低迷していた。この時期は、前述したように佐藤も不振に陥っていた。佐藤と森下が機能しなかった5月と6月。チームは負け越してしまった。

 もう1人の得点源である大山悠輔が、7月に入って調子を上げてきた点はプラス材料だが、年々ホームラン数は減少傾向にあるだけに、高卒4年目の前川右京らの台頭が重要になりそうだ。

 とはいえ、他球団と比べると投手も野手も不安材料は少なく、このままリーグ優勝を果たす可能性が高い。その一方で選手以外の部分に気になる点があるという。前出の球団関係者はこう話す。

「やはり、経験のない藤川球児監督の采配が大きなポイントではないでしょうか。ここまでは順調に勝ち星を重ねていますが、(6月に開かれた)阪急・阪神ホールディングスの株主総会では、監督の采配に対して批判的な意見もありました。一昨年の優勝、日本一を支えた平田勝男ヘッドコーチ(当時)は配置転換で二軍監督になっており、一軍のコーチ陣は比較的、若いメンバーです。何か歯車が狂いだした時に修正できるかは少し不安ですね」

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