【セ・パ交流戦】ロッテの「高卒捕手」ら新たに抜粋の若手が躍動の一方、広島や中日の「大ベテラン」も復権へ 起用法をめぐる難しい選択も

スポーツ 野球

  • ブックマーク

若手の抜擢か、安定のベテラン起用か

 一方、ベテランの活躍も光った。防御率4点台後半に沈んでいた岸孝之(楽天)は、6月12日の中日戦で7回を投げて、被安打3、無失点の好投で今季3勝目をマークした。40歳の大ベテランは、昨年まで4年連続でシーズン120イニング以上に登板している。今年も順調に投球回を重ねており、今後も先発の一角としてかかる期待は大きい。

 野手では、35歳の田中広輔(広島)と39歳の大島洋平(中日)がまだまだ力があるところを示している。

 田中は開幕から二軍暮らしが続いていたが、結果を残して6月7日に一軍に今季初昇格。今シーズン初先発となった12日のロッテ戦ではヒットと四球で2度出塁すると、翌日の日本ハム戦では3方向にきれいに打ち分けて3安打をマーク。サードの守備でも安定したプレーを見せており、まだまだチームの戦力となることを証明した。

 大島も今年は代打での出場が多く、4月11日には登録を抹消されたが、5月6日には一軍に復帰。6月に入ってからは出場機会を増やし、10日以降にスタメンで出場した5試合中4試合でヒットを放つと、11日の楽天戦では今シーズン3個目の盗塁を決めた。今シーズンはここまで13安打を放っており、昨年の23安打を早々に上回りそうだ。

 チームの将来を考えて若手を抜擢するのか、直近の勝利を優先してベテランの力に頼るのか難しい判断となるが、どちらの場合も選手に与えられるチャンスが有限だ。そういう意味で、6月第3週はアピールに成功した選手が多かった。残りのシーズンも限られた機会で、誰がチャンスをつかんで生き残るのか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。