「白鵬はいま相撲協会と喧嘩できない」 宮城野株を戻してもらえるか不安な胸中… 「“告げ口”をされ、前伊勢ケ濱親方への不信感も」
“円満退職”をアピール
とうとう相撲協会を退職した、歴代最多45回の優勝を誇る元横綱白鵬(40)=前宮城野親方=。6月9日に記者会見を開き、退職に至った経緯や今後の目標を語ったが、水面下では前伊勢ヶ濱親方(64)=元横綱旭富士=と年寄株を巡る攻防戦を繰り広げていた。
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【写真を見る】この時にはすでに届け出を… 退職直前の「白鵬」の“吹っ切れたような表情”
会見は帝国ホテル東京の中2階「光の間」で、正午過ぎから開かれた。
「長年、協会との確執が取り沙汰されてきた白鵬ですが、最後は“円満退職”をアピールしました。協会批判は手控え、入門してからの25年間に謝意を述べたのです。この日に白鵬の宮城野株を継承して宮城野親方となった前伊勢ヶ濱親方と並んで登壇したことも、和やかな雰囲気を醸し出していましたね。当然、本音は違うでしょうけれど」(大相撲担当記者)
「今は協会と喧嘩するわけにはいかない」
「会見前、白鵬は残された弟子のことを非常に気にかけていました」
こう語るのは、タニマチ関係者だ。
「白鵬は愛弟子である炎鵬(30)に宮城野株を譲ろうと考えていたのです。彼に宮城野部屋の再興を託し、伊勢ヶ濱部屋に預けられている弟子の受け入れ先になってもらう青写真を描いている。そのためには協会の承認が必要。だから、今は協会と喧嘩するわけにはいかないのです」(同)
もっとも、現在の炎鵬は幕下に落ちており、親方に就ける規定をクリアするためには、あと1場所、十両以上の番付で過ごさなければならない。
「このため、炎鵬が親方になるまでのしばしの間、白鵬は前伊勢ヶ濱親方に宮城野株を預けることにしました。来月、65歳の定年を迎える彼は再雇用制度の下で、年寄株があればもう5年間、部屋付き親方として務め、給料をもらうことができるからです」(同)
本当に宮城野株を戻してもらえるのか……
しかし、白鵬としては、いずれ本当に宮城野株を戻してもらえるのか、不安がよぎったという。
「6月2日、協会の発表で理事の元関脇栃乃和歌こと春日野親方(63)が、前伊勢ヶ濱親方から“白鵬は弟子の指導に身が入っていないようだ”と報告を受けていたことが明かされたからです。この事実ではない“告げ口”を聞いた春日野親方は宮城野部屋再開の承認を思いとどまったそうで、白鵬は前伊勢ヶ濱親方に不信感を抱きました。結局、弁護士を入れて前伊勢ヶ濱親方と話し合い、6月9日の会見に出てもらうよう約束を取り付けたといいます」(前出のタニマチ関係者)
果たして、前伊勢ヶ濱親方は今回の会見で「宮城野部屋の力士の中から、その名跡を継げる子が出てきたら譲渡する」と述べた。
会見後の白鵬に単独インタビューを行い、宮城野株が戻ってくる保証があるかどうかを聞くと、
「ハハッ。それはもう伊勢ヶ濱さん本人が言っているとおりですから」
と、余裕の表情で答え、そのまま炎鵬について、こう語った。
「まだ学生だった頃、先生と一緒に朝稽古に来てくれた。すると、土俵に張り付いたかのように動かない私の足を見て、横綱にほれたんだと。そこから内弟子になり、今まで一緒にやってきました。私が退職してからも皆で、ずっと応援していきますよ」
6月12日発売の「週刊新潮」では、会見で白鵬が漏らした“本音”や、今後開催を目指すという「世界相撲グランドスラム」プロジェクトの内容などと併せて詳しく報じる。