「母が宗教をやってくれて良かった」 34歳インフルエンサー「宗教2世」が達した境地
「本当に嫌でした」
今回、本を書いたことで、母との関係性が整理されたのかなと思っています。著書でも触れましたが、母は末の妹が生後数カ月で亡くなったのを機に、新興宗教に入信しました。私は、いわゆる宗教2世です。
この数年、宗教2世に関するニュースがすごく多かったと思います。結局、どのニュースを見ても「宗教ってひどい」「親が憎い」みたいな片付け方をされているものがほとんどだったと思います。私も昔は、母のことが、本当に嫌でした。
でも、今、振り返ってみると、やっぱり母のことは憎みきれないというか、理解できる部分もあるなっていうことを感じています。理解できる部分というのは、末の妹が亡くなってから、本当に頼るものがない時に、頼るものが宗教だけだったということです。
もし、宗教をやっていなかったら、すごく病んでいたかもしれないし、本当に精神的におかしくなって、場合によっては自死したりしたかもしれない。私自身、色んな経験をし、それを振り返るうちに、母が宗教をやってくれて良かったなって整理できました。
母は現在も信仰しているんですが、最近はだいぶん、緩やかになっている気がします。「お母さんは聖書を読むけど、あなた(まりてん)は違うよね」という話をするんです。昔はそうした話自体をできるだけ、避けていましたから。
父は入信していません。でも、昔は父に対しては「なんで一緒に(母に)反対してくれないんだろう」という怒りが強かったです。父は母の宗教については何も言わなかったんです。
ただ、書斎には「キリスト教の人と生きるには」というようなタイトルの本が置いてあって、父としては、母が健康に穏やかに生きてくれるんであれば、別に宗教をやっても仕方がないという割り切り方をしていたんだろうと思います。
今年に入って、父ががんになったことがわかって、実家に帰るようになり、また、少しずつ話をするようになりました。帰るたびに、やっぱり年を取ってきているなと感じる部分があって、「父なりに頑張ってきたんだろうなあ」と、今は感じています。
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