「大の里の横綱昇進に水を差すな!」 元横綱「白鵬」協会の“猛烈クレーム”で退職会見をキャンセルさせられていた 支援するトヨタ自動車「豊田章男会長」が明かした「白鵬」への思いとは
希代の名横綱の幕引きとしてはあまりに寂しい顛末ではなかったか。6月2日に開かれた日本相撲協会の臨時理事会で、元横綱・白鵬の宮城野親方(40)の退職届が受理された。退職が報じられる直前には、横綱昇進を決めた大の里(24)の優勝パレードのオープンカーのドア係を黙々と務め、ファンの声援に「サヨナラ」と言わんばかりに手を振って応えるなど、どこか吹っ切れたような爽やかさを見せていた白鵬だが、その胸中は……。
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【写真を見る】この時にはすでに届け出を… 退職直前の「白鵬」の“吹っ切れたような表情”
退職届の保留は「時間稼ぎに過ぎない」
「白鵬は、夏場所が終わったところで伊勢ヶ濱親方に退職届を出していたのですが、預かりという形で保留にされていたのです」
と、この間の事情について相撲記者は話す。
白鵬は、退職届を出し、場所後の5月29日に開かれる定例の理事会で受理され、退職が発表されると思っていたという。しかし、
「定例理事会では白鵬の退職問題については議論されませんでした。大の里の横綱昇進で世間は盛り上がっており、そのタイミングで退職が発表されると慶事に水を差すことになる。そこで協会は、新横綱の明治神宮での土俵入りなど昇進に伴う行事を済ませた上で、日をおいて臨時理事会で検討するということにした」
場所終了後、折しも白鵬は、レスリングでモンゴル初の五輪メダルをもたらした父親(故人)の顕彰式に出席するため帰国中。9日に改めて退職会見を開くことにしたという。白鵬のタニマチ関係者は憤る。
「協会が保留にしていたといっても、白鵬に退職を思いとどまるよう説得するためのものではありませんでした。あくまで時間稼ぎに過ぎなかった」
案の定というべきか、2日の臨時理事会では、白鵬の退職届が事務的に受理されたのだ。
希代の横綱の心が折れた協会の対応
そもそも角界から去ることは、数々の記録を打ち立てた希代の横綱にとって苦渋の決断だった。白鵬は、昨年2月に発覚した弟子の暴力問題で監督責任を問われる。宮城野部屋の閉鎖という処分を受け、同4月から弟子と共に伊勢ヶ濱部屋に転籍、部屋付親方となっていた。
「それから1年が過ぎ、いっこうに宮城野部屋再興のめどが立たないことから、最終的には退職を決意したのです」
と、先のタニマチ関係者が白鵬の心中を代弁する。
「白鵬の処分期間は、1年以上2年未満だった。白鵬は3月の大阪場所後の定例理事会で、処分解除の話が出ることを期待していました。しかし、『まだまだ早い』という声が強く、『あと1年待て』というものだった。それで白鵬の心は折れてしまった」
しかも、今の伊勢ヶ濱親方が7月に定年となり、元横綱の照ノ富士親方が部屋を継承することも追い打ちをかけた。自分より後輩の下で指導を受ける立場になることは、とうてい受け入れられるものではなかった。
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