「1年で弟子の半数が引退」 相撲協会と「元白鵬」の確執 最大の被害者は「旧宮城野部屋の力士たち」 弟子の母親は「扱いが酷すぎる」

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 6月2日、元横綱・白鵬の宮城野親方が提出していた相撲協会への退職届が容認された。これで歴代1位の通算1187勝、優勝回数45回を誇る大横綱が、引退から4年足らずで協会を去ることになった。

 この件については、宮城野親方に対する協会の対応が厳し過ぎるのではないかとの指摘もなされてきた。むしろ親方こそ協会のイジメによる被害者ではないか、との声も上がっていたほど。それについては今後、おおいに論議されるべきであるが、“最大の被害者”は、旧宮城野部屋に所属していた弟子たちであることは間違いない。

 旧宮城野部屋の閉鎖後、同部屋に19人いた弟子はみな伊勢ケ浜部屋の預かりとなっていたが、相撲に集中できる環境とモチベーションを失った彼らは、その直後から続々と休場し、中には引退を検討する力士も出ていた。「週刊新潮」では昨年5月の夏場所当時、その動きをキャッチし、後援会関係者や親族に取材して彼らの苦悩を報じている。親方の退職が決まった今、当時の記事を振り返り、今回の騒動がもたらした悲劇を明らかにしてみよう。
(以下は「週刊新潮」2024年5月30号記事の再録です。日付や年齢、肩書などは当時のままです)

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 元幕内・北青鵬の暴力問題に関連し、旧宮城野部屋が閉鎖されたのは2024年の3月末のこと。一国一城の主だった宮城野親方(元白鵬)は伊勢ケ浜部屋の部屋付き親方となり、所属力士も全員、同部屋に転籍した。5月12日に始まった2024年の5月場所は、彼らの“裸一貫”出直しの一番として注目されたわけである。

 ところが、だ。

 現在のここまでの星取表を眺めた好角家は、ある“異常事態”に気が付くはず――。

「休場力士の多くは引退を検討している」

 宮城野部屋から転籍した力士は計19名いるが、うち10名が初日から休場している。他に途中休場した力士もおり、すなわち半数以上が土俵に姿を見せていないわけだ。

「前代未聞ですよね」

 と眉をひそめるのは、さる角界関係者である。

 しかも深刻なのは、

「そのほとんどの原因が明らかになっていないこと。コロナにかかった伯桜鵬やけがが悪化した炎鵬は別にして、他はなぜ休場しているのか、傍からは見えないままなのです」

 として、種明かしをする。

「実は休場力士のうちの多くは引退を検討しているそうです。もちろん理由はそれぞれですが、やはり彼らは大横綱・白鵬に憧れて入門した。それが師匠ではなくなり、モチベーションが失われたのかもしれない」

 理由は他にも。

「伊勢ケ浜は、横綱・照ノ富士を筆頭に幕内力士が6人所属する現角界一の強豪部屋。対する旧宮城野は最高位が十両の伯桜鵬で、しかも不祥事の後ですから、居心地が悪く、やる気が損なわれていった」

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