令和初の快挙となるか注目 オリックスの“タフネス右腕”九里亜蓮が挑戦中…6年間も達成者が現れない“大記録”とは

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九里投手はシーズン3分の1を終えて“最低ノルマ”を僅かに下回る好ペース

 令和以降では、オリックス時代の山本由伸(現・ドジャース)が2021年に193回2/3、22年に193回と2年続けて大台に迫ったが、両年とも完投数がリーグ最多ながら一桁(21年は6、22年は4)にとどまり、わずかに届かなかった。

 23年の九里も、登板26試合中完投は3試合で、7回未満での降板が10試合あった。同年の九里が200イニングに到達するには、平均7.7回以上がノルマで、実質1試合当たり8回以上を投げなければ平均を上回れないというハードルの高さだった。

 このような事情から、近年のファンが思い浮かべる「タフな投手」も、先発よりもセットアッパーやクローザーのイメージが強くなった。15年連続50試合以上に登板し、NPB最多の通算407セーブを記録した中日・岩瀬仁紀、9年連続60試合以上に登板した育成出身の巨人・山口鉄也、2007年にNPB最多の90試合に登板した阪神・久保田智之、現役では14年連続50試合以上に登板した日本ハム・宮西尚生の名が挙がる。

 だが、九里が菅野以来7年ぶりに投球回数200イニング以上を記録すれば、“令和のタフネス右腕”の呼称も定着するはずだ。

 今季の九里は開幕から5月までの約2ヵ月で9試合に先発し、投球回数は65回1/3。うち5試合までが8イニング以上(完投1)だった。シーズンの3分の1終了時点で66回2/3が最低のノルマとすると、1回1/3足りないが、けっして挽回不可能な数字ではない。
 
 残り4ヵ月で134回2/3。「ピッチャーとして完全試合、ノーヒットノーラン、完封を目指していくのは当然だけれど、それよりも1年間ローテーションで回りきることが一番だと思っている」という九里のプロ12年目の挑戦を最後まで見守っていきたい。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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