パンを買いに行く使い走りばかりさせられて… 横尾忠則が「僕の生涯の中で無駄な時間をむさぼった時期」を振り返る

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 時々想うのですが、僕はいつも無駄なことばかりをしているような気がするのです。せっかく何かをしても、それをしただけのかいがないのです。といってそのための努力をしているわけでもないのです。といって益を期待しているわけでもないのです。

 なんとなくのらりくらりとしているような気がしているのです。ところが無益なのらりくらりがなぜか僕にとっては必要らしいのです。らしい、と人ごとのように言いますが、半ば人ごとなのかも知れません。

 その昔、高校を出たあと、家から1時間ばかり電車で通う印刷所に勤めたことがあります。...

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