巨人の打順、パワーが段違いの「リチャード」は気楽な7、8番がいい 「浅野翔吾」はまた悪い時に戻りつつある【柴田勲のコラム】

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浅野翔吾は焦っている

 阿部監督は打順をクルクルと変えている。前日活躍した選手を起用することが多い。でもこれはどうか。前日4安打した選手は翌日無安打なんてことが結構ある。

 いまのチーム状況を考えると1番・若林楽人、2番・泉口友汰、3番・吉川、4番トレイ・キャベッジ、5番・甲斐拓也、6番・増田陸、7番エリエ・ヘルナンデス、8番・リチャードになるか。

 7番と8番は入れ替えOKだ。リチャードは打ってくれたら儲けものだ。いまはこれくらいの気持ちで起用した方がいいと思う。

 丸佳浩、岡本和真、坂本勇人と昨年クリーンアップに名前を連ねていた三人が離脱中だ。4年も5年も前の話ではない。昨年だ。そりゃ、きついし苦しい。

 今回も浅野翔吾に触れたい。また悪い時に戻りつつある。1軍に昇格して間もない頃はリラックスして打席に入っていた。

 いまは力んでいる。結果を出したい。焦っている。結果、ボール球を振っている。楽に構えなさいとまた言っておく。

戸郷が覚えるとしたらカーブだ

 阿部監督が未勝利の戸郷翔征にアドバイスを送ったという。新球種の習得だ。

 戸郷の持ち球は真っすぐ、フォーク、スライダーだ。覚えるとしたらカーブだろう。それも大きなカーブだ。

 でもカーブを覚えるのは意外と難しい。阿部監督の言うことも分かるが、何度でも話すようにまずは外角低めの真っすぐを磨くことだと思う。ここでストライクを取れるようになれば投球が楽になる。

 今季の戸郷は5度先発したものの、いまだに未勝利だ。ボールが打者のベルト周辺に集まっている。

 第3戦で堀田賢慎と船迫が山本に2打席連続で本塁打を浴びた。山本はこれまで1シーズンで2本打ったのが最高だ。打者はベルト周辺に甘く来たらどんなに速い球でも打つ。

 外角低めに関して言えば、山崎伊織、赤星優志の方がよっぽど意識が高い。

この6連戦は分岐点

 20日からは甲子園に乗り込んで阪神3連戦、東京ドームに戻ってヤクルト3連戦である。

 現在4位、微妙な位置だ。結果次第で上位に食い込めるのか、それともズルズルといって中日、ヤクルトと共にBクラスに定着するのか。

 この6連戦は分岐点だ。前回も記したが、打てない、タイムリーが出ないと嘆いてばかりもいられない。チーム一丸となって乗り切ってもらいたい。

(成績などは19日現在)

(※)ソフトバンク時代の1軍通算は100試合で打率.154、10本塁打、27打点。今季も栗原陵矢の故障で開幕スタメンに抜てきされたが、22打数2安打で打率.091、12三振と振るわず、4月5日に2軍落ちしていた。

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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