羽田の駐車場、富士山の山小屋で「予約枠転売ヤー」が増加 嵐ラストツアーでも?仕入れリスク無しの悪質手口とは
納車数年待ちの人気車種の「販売権」を転売
「羽田空港の駐車場は大きく報じられたこともあり、対策が取られるようですが、予約枠を使った転売はまだまだ存在します。例えば、金額の大きいものでは自動車がありますね」
そう解説するのは、転売ヤーの生態に詳しく『転売ヤー 闇の経済学』(新潮新書)の著作がある、フリーライターの奥窪優木氏だ。
「納期が4年とも5年とも言われるトヨタの“ランドクルーザー”が有名ですが、人気の集中する車種は“買いたくても買えない”ケースが多々あるといいます。そこで現れたのが“納車前の転売”です。」
例えばランドクルーザー300の場合、新車価格は仕様によって約500~700万円だが、あまりの人気に新車の転売価格が1000万円を超えることもザラだといい、それだけについ最近も「ランクル専門」の外国人窃盗グループが摘発されたことがニュースになっている。
ただ、ここで取り上げるのは納車前の転売。なにが違うのか――。
「人気車種をディーラーで購入し、頭金を入金した状態で納期を待ち、納期が近付いたところで“納車1か月前の人気車種の購入権をお譲りします”と売りに出すのです。転売ヤーにとってのメリットは、新車転売に比べて拘束される金額が少ないこと。新車を購入するお金がなくても転売ができてしまうということです」(奥窪氏)
ランドクルーザーは特異な例だが、そこまでいかなくとも、人気車種は納期に1年ほど待たされる場合が多く、多少の上乗せを払っても「今すぐ欲しい」というニーズがあるのだそうだ。
もちろん、最近はディーラーも、申し込み後の名義変更の禁止や、転売禁止の誓約書など、対策を取っているとされるが、全てのディーラーで厳格なルールが運用されているわけではない。
「ディーラーの販売員の給料は歩合制であることがほとんどです。申し込みから納車の間に理由をつけて名義変更を申し出られたとして、そこでキャンセルになると成績に響きますから、“転売ヤーかも知れない”と内心では思いながら許可するというケースもあると聞きます」(同)
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