煩わしい人間関係や交通渋滞とは無縁! 大好きな人や店に会いに行く「旅行以上、帰省未満」という旅スタイルをご紹介
名所より人
旅行は楽しいものである。だが、仮に、ある旅先の素晴らしさに感動したとして、今後、そこに何度も訪れるだろうか? いくら清水寺が素晴らしかろうが、ピサの斜塔に感銘を受けようが、それを見るために短期間に10回も行くというのは、ちょっと考えにくい。一方で、私の周囲には、実家でもないのに、遠方から何度も同じ土地を訪れている人が少なからず存在する。本稿では、そうした人々の様子を紹介しながら、「旅行以上・帰省未満」という旅行のスタイルについて考えてみる。
【写真】友人らとゲームに宴会、土いじり…佐賀県唐津市で楽しむ「旅行以上、帰省未満」の過ごし方
私は現在佐賀県唐津市在住で、この地に移住してから4年5ヶ月が経過した。その間、延べ600人以上の人が私に会いに唐津へやってきた。「延べ」と書いたのは、リピーターが多いからである。2回来た人は「2人」として扱っている。
そんな中、年に4回、合計15回来た人がいるのだ。一体なぜここまで高頻度なのかといえば、「その地にいる『人』に会いに行く」が目的だからなのだ。いくらモンサンミッシェルが素晴らしかろうが、姫路城が美しかろうが、だからと年に4回行く、というのはあり得ない。あくまでも、その土地にいる人、店(とその店の店主・スタッフ)と会いたいから来るのである。
かくして彼らは実家に帰省するよりも高い頻度で唐津に来るのである。我々地方民としては、都会から何度も来てくれる人はありがたい存在である。何しろ、地元にお金を落としてくれるほか、この街の魅力を都会の人々に伝えてくれるからだ。だからこそ、気が合った場合は徹底的に彼ら・彼女らがこの地にいる時は歓待するし、遊びまくる。
帰省におけるデメリット
この人達がさらに、色々な人を紹介し、ますますこの地に来たくなるように手を打つのである。今年の4月は12日、20日、25日、26日と唐津の農家・山崎幸治さんの家でタケノコ掘り&BBQを4回行った。このうち12日と26日の会に来たのが埼玉県の池田良寛さん(51)である。
4月12日のタケノコ掘りには3泊4日でやってきたが、26日の際はGWで仕事が休みということもあり、25日から5月3日まで8泊9日も唐津に滞在したのである。合わせて11泊13日だ。ほぼ半月いたわけだが、同氏はXにこう書いた。
〈9日間滞在してもあっという間… 何度来ても楽しい、飽きない、また来たい唐津。最後は山ちゃんと中川さんに見送ってもらいながら、4ヶ月ほど埼玉に「行って」来ます〉
次回は9月の音楽フェスティバルの際にやってくるというが、自宅のある埼玉はあくまでも「行って」くる場所であり、唐津が「帰って」くる場所なのだ。実際我々も池田さんが唐津に来る時は「お帰り」と言うし、他のヘビーリピーターに対しても「お帰り」と言う。
さて、この「旅行以上、帰省未満」の何がいいか。まず、帰省についてだが、家族と親戚関係の面倒くさい話が多いのである。「あんたは早く結婚しなさい」「あんたの息子は私立中学校の受験をさせなさい」「あんたの嫁は性格が悪い」などと親から文句を言われることが本当に多い。あとは、親戚の中でもマウンティングがあり、いとこやら甥・姪の中でも学歴マウンティングが発生したりする。
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