名投手・米田哲也を転落させた「水商売の失敗」のウラ側 芦屋の高級マンションは競売に
【全3回(前編/中編/後編)の後編】
歴代2位の350勝、19年連続2ケタ勝利――日本プロ野球の歴史に名を刻む大投手・米田哲也氏(87)がスーパーで万引きに及び、窃盗容疑で逮捕された。盗んだのは、2本の缶酎ハイ。一時代を築いた名選手が犯罪に手を染めることになったわけは――。
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【写真を見る】築50年「米田哲也」の自宅アパート 伝説的な選手が暮らすとは想像しづらい
水商売のご破算
彼が貧窮にあえぐきっかけになったとされるのが、現役引退後に始めた水商売のご破算だ。近隣住民にも“事業に失敗した”と漏らしていたという。
地元の飲食店関係者によれば、
「バブルの頃、西宮市で自身の記録にちなんだ『セナ350』というスナックを経営していました。が、実態はスナックというよりラウンジに近く、女性が6~7人いるようなお店。米田さん自身が店にいるわけではない。“店を任せていた女性にだまされた”とか“人件費がかさんでしまった”などと言われていますが、つまるところ、米田さんに商売のノウハウがなかったのでしょう」
1985年に購入した芦屋市の高級マンションの登記を確認すると、彼の苦境がありありと見て取れる。96年、このマンションを抵当にして5000万円の借金をするも、同年、大阪国税局に差し押えられ、翌年と翌々年には芦屋市からも差し押えをくらってしまう。2002年には、とうとう競売にかけられてしまうのだ。
年金制度の廃止
さらに、球界特有の制度が廃止されたことも、米田氏の窮状に追い打ちをかけたかもしれない。
「もともと、プロ野球には登録10年の選手には月額2万円、15年だと3万円が50歳から支給される年金がありました。しかし、それでは安過ぎるということで、のちに登録10年以上であれば月10万円が支給されることになった。ところが、財源が尽きてしまい、2011年にこの年金制度は廃止されました」(球界関係者)
やがて球界でも、米田氏の困窮ぶりが広まった。というより、彼自身が広めたと言った方が正確か。野村克也氏をはじめとするOBに対して、カネの無心をしていたというのだ。中編【「家賃500万円を滞納」 逮捕された名投手「米田哲也」の極貧生活 近隣住民にしていた「信じがたい頼み事」とは】では、実際に「金を貸してくれ」と電話を受けた球界のご意見番の嘆きを報じている。
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