「森保ジャパン」W杯ベスト8進出のカギを握るのは「最終予選の残り2試合」…「決して“消化試合”ではなく勝利が絶対条件」と専門家が断じる理由

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日本大波乱の秘密

 なにぶん初めてのことだけに、予想もこれまで以上に難しい。

 ただ、6月のW杯アジア最終予選2試合と9月からの親善試合で勝利を収め、FIFAランクを可能な限りアップ、もしくは最低でも現状を維持することがベスト8進出に近づくことは間違いない。

 なぜなら本大会のグループ分けで重要なのが、FIFAランクだからである。

 前回のカタールW杯は32か国の参加だったため、4チームずつ8つのグループ分けとなり、各グループは4つのポット(シード)に振り分けられて抽選会に臨んだ。

 第1ポットは開催国カタールと、FIFAランク7位まで。第2ポットは同ランク8位から15位までといった具合だ。

 そして当時の日本はFIFAランク23位だったが、出場国のランクでは19位だったためポット3に振り分けられた。

 そしてポット1は7位のスペイン、ポット2は想定外の12位ドイツと同じ組になった。大会はポット3の日本がポット1のスペインとポット2のドイツを破る大波乱を演出した。

 ところが大陸間プレーオフで出場権を獲得したポット4のコスタリカに第2戦で敗れるというハプニング。しかしこれは、初戦だったドイツ戦の勝利による気の緩みや選手起用で変化があったため、日本が実力通りの力を発揮したかどうかは疑問だ。

 そして第2戦の敗戦がなければ、第3戦スペイン戦の勝利もなかったかもしれない。

鍵を握るFIFAランキング

 日本は4月3日現在、FIFAランク15位につけている。過去最高の順位であり、出場国が48に増えたため、このままいけば、これまた過去最高のポット2という可能性が高い(現時点でW杯の出場国が決まっていないためポット分けはあくまで予想)。

 というのも参加チームが48に増えたことで、グループリーグは4チームずつ12のグループ分けになり、ポット1はFIFAランク12位までとなる。

 ところが北中米W杯は3か国の共催のため、アメリカ、カナダ、メキシコがシードされ第1ポットとなる。

 残る枠はFIFAランク9位までで、現状のランクではアルゼンチン、スペイン、フランス、イングランド、ブラジル、オランダ、ポルトガル、ベルギー、イタリアとなっている。

 すでに予選を突破して出場を決めているのは前回王者のアルゼンチンだけだ。

 そして問題の第2ポット、10位から21位にはドイツ、クロアチア、モロッコ、ウルグアイ、コロンビア、日本、アメリカ、メキシコ、イラン、セネガル、スイス、デンマークと続いている。

 ただしアメリカとメキシコは開催国枠での出場が決定しているため、繰り上げでオーストラリアと韓国のアジア勢がランクインする可能性もある。

 こうした状況から、日本がまず死守しなければならないのは現状のFIFAランクである。

 すでに予選を突破しているからといって、6月のW杯予選2試合は“消化試合”ではなく勝利が絶対条件となる。なぜならW杯予選はポイント数が高いからだ。

 さらに9月から予定されているテストマッチでも、できるだけポイントを稼いでポット1のFIFAランク9位以内に入りたいところである。

 第2回【史上最強の「日本代表」が“ベスト8”以上を確実にするために必要な条件とは…専門家が指摘する「地の利の重要性」と「強いられる新たな戦い」】では、名実共に史上最強である森保ジャパンだからこそ存在する“落とし穴”についてお伝えする──。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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