三菱UFJ貸金庫17億円窃盗の女、“逃げ得”の可能性は? 「資産家とされる夫と離婚しており弁済は厳しい」

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なぜ約3億8800万に?

 その理由を、先の司法記者が語る。

「貸金庫の中身は利用者以外は知り得ません。なので、現金の額を裏付ける記録などの証拠がない限り、被害者である顧客の自己申告だけで立件するのは困難です。金塊は、偽造防止と商品管理の目的でシリアルナンバーやメーカー名が刻印されているので所有者の追跡が可能。そのため、金塊を中心に立件されました」

 顧客側の事情で、捜査機関に中身の詳細を明かしたくないケースもあるが、

「三菱UFJは、基本的に顧客の申告に沿って補償をしています。かかる費用の総額は14億円超となる見込みで、大部分は顧客の現金10億円超を補填するのに充てられる。それ以外は、被告が複数の質屋に質入れしていた金塊を引き出す代金や弁護士費用、事件のあった都内2支店で貸金庫の使用料分を顧客に返金する費用です」

出所後の給与所得から返済させる?

 顧客はもちろんのこと、銀行にも巨額の損失を与えた山崎被告に対する量刑は、

「3億8800万円相当の窃盗ならば懲役10年程度の実刑判決が想定されます。立件総額の一部でも弁済すれば刑の減軽があるかもしれません。が、資産家と報じられた夫と今年2月に離婚して今村姓から山崎姓になった彼女は、本籍を練馬区から出身地の埼玉県内に戻している。そこは賃貸住宅で、身寄りは母親だけとされます。やはり弁済は厳しいでしょう」

 目下、銀行が準備している損害賠償請求も“被告にとって厳しい”と、メガバンク関係者。

「請求の詳細は分かりませんが、三菱UFJは、現状の被告から取れないと認識した上で損害賠償を請求すると思います。例えば、彼女が刑期を終えて出所した後の給与収入から返済させるといった計画も視野に入れているのでは。つまり“逃げ得”は断じて許さないということです」

 法的には、刑に服せば事件自体は終わる。だが彼女がどんなに足掻こうとも、自身が犯した罪の軛(くびき)から解放されることはなさそうだ。

週刊新潮 2025年5月1・8日号掲載

ワイド特集「天国と地獄」より

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