「日本で薬を創るのはリスクでしかない」 相次ぐ「薬価引き下げ」で懸念される「新薬が日本に出回らない未来」
消費者への不利益
海外企業だけでなく、国内企業からも見放されつつある日本。こうして「日本で薬が創られない」傾向が加速していくと、不利益を被るのは、我々消費者だと石原氏は指摘する。
「製薬会社が日本での開発を諦め、『海外でつくって海外で売る』ことが当たり前になってくると、新しい薬を利用するためには、個人輸入などで海外から買わないといけない事態が横行してしまう。日本で流通していなければ当然保険も適用外です。薬価の引き下げという点だけを見れば消費者に恩恵があるように映るかもしれませんが、結局高くつくような本末転倒の事態も想定されるのです」
そしてこうも言う。
「新薬には、これまで救えなかった命を救うことができる可能性がある。その芽が摘まれてしまっては、ある意味で患者を見捨てているという見方もできるかもしれません。もちろん、財政がひっ迫する中で簡単に打開策が見いだせる問題ではないですし、医療保険を守ることが国民の命を救うことに繋がる面もあるとは思います。とはいえ、少なくとも創薬側の目線が軽視されたまま国の政策が推し進められていて、それゆえに国民全体に不利益が広がりかねないのではないかと恐れています」