「400万円の車は100万円以上高くなる」 トランプ関税の大打撃 最も影響を受けるのは「スバルとマツダ」という理由

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「400万円前後の車なら、100万円以上高くなる」

「米国の『解放の日』の始まりだ」――。そう米大統領が息巻くと、東証の平均株価は今年最大の下げ幅を記録した。日本経済の根幹である自動車業界に激震が走っているが、われわれになすすべはあるのだろうか。

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 これは日本への宣戦布告なのか。タリフマン、いわゆる関税男を自称するドナルド・トランプ大統領(78)が、今月3日から米国への輸入車に25%の追加関税を課すと決めたのだ。

 多くの車を米国に輸出している日本への影響は計り知れない。日本車の国別で見た輸出先で米国は不動の1位。財務省の最新統計によれば、昨年に日本から米国へ輸出された自動車は計137万台で、金額は6兆円の大台を超えている。

 経済部デスクが言う。

「輸入車に関税がかけられた場合、自動車メーカーは販売価格に転嫁せざるを得ないと思います。現状でも日本車には2.5%の関税がかけられており、そこへ新たに25%が上乗せされる。日本円で1台400万円前後の車なら、100万円以上も高くなる。米国で日本車の買い控えが起これば、メーカーは減産を余儀なくされるという負のスパイラルに陥ります」

トランプ関税の二つの狙い

 そんな未来を予測してか、トランプ政権が「関税発動宣言」をした先月以降、自動車関連株は軒並み下落。

 日本の基幹産業を担う自動車メーカーへの打撃が、わが国の経済低迷に直結するのは言うまでもない。

 日本への影響と回避策を考える前に、トランプ政権は関税発動で何をもくろんでいるのか。以下、簡単におさらいしておこう。

「関税というのは、トランプ大統領の公約の中心部分であり、目的は大きく二つあると思います」

 と解説するのは、現代アメリカ政治・外交を専門にする上智大学教授の前嶋和弘氏である。

「まず一つ目は、国内産業を保護するため。二つ目は関税によって他国の譲歩を引き出すディール(取引)のためということです。自動車への関税については、世界の自動車工場を米国へ移転させる目的が大きい。高関税を嫌がる各国の自動車メーカーなどの製造業が、アメリカに直接投資をしてくることを狙っているのです」

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