チャールズ国王も怒り心頭か…実弟「アンドリュー王子」と、MI5が危険視した“スパイ疑惑の中国人”との深すぎる関係
「英国王室は“次男”が厄介」という見方はいまや定番となった。今回の主役はチャールズ国王の次男ヘンリー王子ではなく、エリザベス女王の次男アンドリュー王子である。「側近」とも呼ばれた中国人実業家のスパイ疑惑により、「役に立つ阿呆」という身も蓋もない“称号”を与えられる羽目になってしまったようだ。
【写真】英国から「入国禁止」を言い渡された「中国人男性」は誰?
MI5が「国家安全保障に危険をもたらす」と判断
英国政府が「スパイ」と目した中国人実業家は50歳の男性。21年11月に英国の国境で国境警備当局の尋問を受けた後、23年に北京発ロンドン行きの飛行機から降ろされ、翌月に英国への入国禁止が通知された。
この男性が「英国の国家安全保障に危険をもたらす」と判断したのはMI5、入国禁止を決定したのは当時のスエラ・ブラヴァマン内相である。男性は自身のデータ保管を阻止する訴訟を起こしたが控訴審で敗訴。23年には入国禁止の決定を不満として特別移民上訴委員会に訴えを起こしたが、今月12日の判決は入国禁止の維持だった。
この時に公開された裁判文書は男性の名前を「H6」と称している。21年に尋問を受けた際にH6はスマートフォンなどを提出していた。そこから見つかったメールにより、接触していた人物はアンドリュー王子のアドバイザーであるドミニク・ハンプシャー氏だったことがわかった。
裁判文書によると、ハンプシャー氏は21年、アンドリュー王子との電話会談を控えたH6に「重要:期待をマネージすること。あまりにも高い期待を抱かせないようにすることがとても大切です。彼は絶望的な状況にあり、何にでもしがみつくでしょう」と助言するメールを送っていた。
エプスタイン疑惑で窮地に陥った王子
この「絶望的な状況」が、エプスタイン疑惑や関連する裁判など、社会的立場と経済状況の双方であったことは想像に難くない。19年8月に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告の“友人”だったアンドリュー王子が、01年に当時17歳のヴァージニア・ジュフリーさんと行為に及んだという疑惑は、15年から本格的に表面化していた。
アンドリュー王子は19年、BBCのインタビュー番組で辻褄が合わない言い訳を繰り返すなどして、英国民とエリザベス女王の信頼を失った。この際に公務からの全面撤退が発表されたが、21年8月にジュフリーさんが米国でアンドリュー王子を訴えたこと(翌年和解)を契機に、軍の名誉職などの役職を返上。「殿下(HRH)」の称号も使用を停止された。
事実上の完全引退となった後は、自宅であるロイヤル・ロッジをめぐり、維持費の捻出問題や、“格下”のフロッグモア・コテージへの転居を求めるチャールズ国王との攻防などが断続的に報じられていた。要するに、外国人スパイに付け入られる隙だらけだったというわけだ。
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